3大キャリアでは一歩先んじたKDDIのVR事業

これまでVRはコンテンツ業界の担うべき分野と考えられてきたが、KDDIはコミュニケーションという新たな方策をもって、この分野に積極的に参入する意思を明らかにした。それではモバイル通信3大キャリアのうち、KDDI以外の残る2社の動向はどうなっているだろうか。

コミュニケーションの多様化にVRを活用しようとするKDDI。他のキャリアの考え方はいかに

NTTドコモはVRコンテンツの配信用として「dTV VR」アプリの配信を開始。dTVでVRコンテンツの配信を開始するとともに、夏フェスでの360度カメラによる撮影やアーティストのVR作品を制作するなど、配信事業のひとつの柱としてVRを捉えているようだ。

ソフトバンクも、VR映像のライブ配信を手がける米NextVR社へ約80億円の出資をするなど、VRコンテンツ、特にライブ配信を重視した戦略を取っているようだ。同社はVR/ARが将来のコミュニケーションや教育、コンテンツ分野において重要であるという立場を明らかにしているが、現時点ではUstreamへ投資したのと同様に、コンサートやスポーツ会場などのライブ配信をコンテンツの中心に考えているようだ。

こうしてみると、VRを配信コンテンツの目玉のひとつに使おうとするドコモ・ソフトバンクと、コンテンツ配信だけでなくコミュニケーションにも積極的に利用しようとするKDDIでは方向性がだいぶ異なることがわかる。将来的には全社とも配信・コミュニケーションをカバーしていくことにはなるだろうが、KDDIはVRによるコミュニケーションに先鞭をつけたという点で、イメージ戦略的に一歩先んじた感がある。本格的な普及にはまだまだ時間がかかりそうだが、キャリアとしての特色を出す意味でも、こうしたチャレンジはもっと評価されていいだろう。将来の展開が大変楽しみだ。