すでに様々なことに着手

その取り組みには次のようなものがある。特急列車のレッドアロー号を利用して、秩父の三峰神社で雲海と星空の鑑賞ツアーを開催。今年4月には有名店シェフ監修のコース料理を車内で味わう「旅するレストラン 52席の至福」のサービスもスタートさせた。ほかにも、5月、8月には期間限定で秩父鉄道のSL「パレオエクスプレス」を入線させるイベントも実施している。

「52席の至福」車両外観と車内の様子。運行区間は「池袋・西武新宿-西武秩父駅間」ほか「西武新宿-本川越駅間」など。車両デザインは荒川を意識した造りに、内装の一部にも秩父の絹織物「秩父銘仙」が利用されているという

「52席の至福」のコース料理(写真は4月時点)

近年では、秩父を舞台にしたアニメ「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。」(以下、あの花)、同じくアニメ映画の「心が叫びたがっているんだ」(以下、ここさけ)がヒットし、秩父市内が聖地巡礼(物語の舞台を追体験するために訪れること)の地となった。それを踏まえて2014年に「あの花」のラッピング電車を運行したり、「ここさけ」の舞台探訪マップを配布したりと、アニメとのタイアップキャンペーンも積極的に行ってきた。

両作品については、秩父市が組織した秩父アニメツーリズム実行委員会と結びつき、「あの花」「ここさけ」のフラッグが今でも西武秩父駅構内に飾られ続けている。実際に「あの花」の舞台を訪れると、それと思わしきファンはまだおり、その効果は続いている。

インバウンド需要も狙った取り組みも見逃せない。今年1月には外国人にも人気の高いサンリオのハローキティを活用した「冬の秩父デスティネーションキャンペーン」を実施。ハローキティデザインの記念乗車券と長瀞ラインくだりの乗船代割引クーポンなどの特典をつけたキャンペーンだが、利用者に秩父の魅力をSNSで発信してもらうことを狙ったという。