「ヘルシオ」はアジアに進出できるか

ホンハイは白物家電の販路は持っていないため、今のところ具体的な効果は見えていない。しかし「ホンハイの仲間に入ったことで、中国台湾では有効に活用していくことができると感じている」と期待を込める沖津取締役。すでにアジアには、その国、地域にあわせた料理研究をするメンバーが現地にいるため、新しい調理器具とそれを利用するメニューを現地開発していくことなども考えているという。そうすることで、将来的には、現地開発した調理器具を使えば、日本でアジアン料理が手軽に作れるというようになるかもしれないという。

先に今回の家電のターゲットは単身、共働き世帯を中心とした「中食市場」だと述べたが、それは、アジア圏でもいえること。アジアには外で買って持ち帰るという文化の国が多いため、家で温めるニーズが高いと見込んでいる。またすでに、中国などでは「ヘルシオ」は販売しているが、今回の新商品だとより安価になるため、中国に比べて、経済的にまだまだな国でも普及すると想定しているという。

ヘルシオシリーズ

電子レンジの機能を絞った調理器具といえば、トースト。価格帯は1~2万円だから、同じ温めができる「グリエ」は高いという印象はぬぐえない。高付加価値商品は日本企業の得意なところだが、一方で安価な単機能商品にニーズがあるアジアには受けなかった過去がある。日常的に利用している「あたため料理」がおいしく、そしてより健康に寄与できる食べ方ができることに魅力を感じてもらえるかどうか。2~3万円の差をコスパよしと、どうやってアジア圏に訴えることができるかが今後の課題だろう。そしてそれはシリーズ全体がアジアを中心に普及していくかのカギなのではないだろうか。