――北川景子さんとは今回が初めてのお仕事だそうですが、印象はいかがでしたか?

初めてお会いしたときから、すごく気持ちのいい人でした。今回の役について「わりと自分と近い役だから、疑問点を持たずにやれました」と話しているのを聞いて驚きましたが、この3カ月間、番宣も含めていろんなところで彼女を見ていると、仕事に対しての情熱がすごいので、そういうところが三軒家さんに共感したんだろうなと思いました。何を置いてもまずは仕事、仕事がないと私は生きていけませんって、結構おっしゃっているんですよね。

――他の作品でも、すごくストイックに役に打ち込むという話はよく聞きますね。ところで、あの三軒家万智のキャラクターを見ていて、以前、篠原涼子さんがスーパー派遣社員を演じた日テレさんのドラマ『ハケンの品格』(※)を思い出しました。三軒家と工藤阿須加さん演じる庭野と、篠原さんと新米派遣社員の加藤あいさんの関係は、やはり意識されているんですか?

実は『ハケンの品格』は、セリフがしっかり入るくらい何度も見ている、私が日テレで一番好きなドラマなんです。もちろん影響を受けています。『家売るオンナ』をつくるときのベースとして、1話から10話までの人間関係がどう変わっていくのかというのを、『ハケンの品格』をもとに、グラフみたいなものを作って研究したんです。

そこから、何話目に人間関係で思わぬ出来事が起こったらインパクトが与えられるんだろうというのを考えていたんですが、『ハケンの品格』は、3話で篠原さんと大泉洋さんがキスするシーンがあるんですよ。当時私はそれを見て「そんなつもりで見てなかったのに!」とびっくりしたんですが、今回出ていただいている課長役の仲村トオルさんがとってもすてきなので、大石さんに「4話で三軒家万智とキスするというのをやろうと思うんです」と相談したんです。『ハケン』は3話でやったんで、こっちも3話でやろうと思ったんですけど、その段階ではどう考えてもできなくて(笑)

(※)『ハケンの品格』…篠原涼子演じるスーパー派遣社員・大前春子が、正社員とバトルを繰り広げながら、無表情で完璧に仕事をこなし、会社のピンチを何度も救っていくドラマ。日本テレビ系で2007年1~3月放送。

14日放送の最終話より=日本テレビ提供

――いよいよ最終回ですが、見どころを教えてください。

最終回は、いつもと同じように、とあるお客さんに向き合って家を売るというお話なので、これまで見ていなかった方にも楽しんでもらえます。そんな中、三軒家さんがテーコー不動産を追われそうになるという事態が起きて、そこで彼女がどんな気持ちで家を売るのか、というところがポイントですね。これまで、彼女のいろんな過去の話が出てきましたけど、彼女が今どういう思いでいるのかを語るシーンがありますし、一軒も家を売っていない白洲美加(イモトアヤコ)が最後には家を売れるようになるのかにも注目ですし、三軒家と課長と庭野の三角関係も、ある程度決着というか、ひとつの形が見えてきますよ。

――ラストシーンは海岸ですよね。全く展開が読めません(笑)

えーっ!?って驚くと思います(笑)。最終回を見て、その後1話からあらためて見ていくと、これはここにつながっていたのか!と、伏線にも気づくと思います。

『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』(10月5日スタート、毎週水曜22:00~23:00 ※初回は10分拡大)
ファッション誌の編集者を目指して出版社に入社したものの、原稿のミスを調べて直すという地味な「校閲部」に配属された、石原さとみ演じる河野悦子が主人公。ド派手ファッションに身を包み、作家に直接会いに行ったり、事実確認のために現場に乗り込んだりと、校閲の仕事を超えて大暴れしていくお仕事ドラマ。

――ところで、次の水曜ドラマ『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』でもプロデュースを担当されますよね。同じ枠で2クール連続というのは異例だと思います。

これは同時に出した企画書が通って、本当にたまたま連投になっちゃっただけなんです(笑)。『地味にスゴイ!』は、女性をはじめ、どんな小さな仕事でも一生懸命頑張っている人を応援するドラマ。自分の居場所はここなのだろうかと悩みながら働いている人ってすごくいっぱいいると思うんですよ。そんな人たちが、本当はやりたい仕事じゃなくても、本気でやれば自分をほめていいんだって思えるようなドラマにしたい。それは、ほんっとうに私が13年間、ドラマに異動できなくて、すごく抱えて考えていたことなので、その思いを描いていきたいと思います。

■プロフィール
小田玲奈(おだ・れいな)
1980年生まれ、東京都出身。日本大学芸術学部演劇学科卒業後、2003年に日本テレビ放送網入社。朝の情報番組『ズームイン!!SUPER』を担当後バラエティ制作に移り、『メレンゲの気持ち』『another sky-アナザースカイ-』『魔女たちの22時』『不可思議探偵団』『有吉ゼミ』などを担当し、2016年7月クールの『家売るオンナ』で初の連ドラプロデュース。次の10月クール『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』でもプロデュースを担当。