――この「GO!!」は、思わずマネしたくなるセリフですよね。「北川さんに風を当てて」とおっしゃいましたが、どのように撮っているんですか?

「GO!!」のシーンで北川景子に風を当てるサーキュレーター。箱馬と合わせて「GOセット」と呼ばれている

手持ちのカワイイ扇風機ではなく、サーキュレーターを顔の正面下からクッと上げて当てています。初めはやっぱりうまくいかなくて、「GO!!」と言っているときにグッとアップになるのですが、カメラマンさんも息を合わせるのに苦労されていたり、風と一緒にホコリがつくこともあるので、あんまりやり過ぎるとメイクさんがドキドキし始めたり…(笑)。それで、打ち上げのときに、スタッフのみんなが「GO!!」で大変だったことをひと言ずつ発表していく「GO!!ができるまで」というVTRを流したんですが、すごく盛り上がりました(笑)

――それぞれ、「GO!!」の苦労話を持っているんですね(笑)

音声さんは「GO!!」と言う声が扇風機の音に潰されてしまうんで、直後に「声だけもらいまーす」と言って「GO!!」の声をアフレコしてたり、衣装さんは三軒家万智がカーディガンを羽織っていることが多いので、それが「飛ばないように祈ってました」とか(笑)。それでも撮影が進むにつれてだんだん慣れてきて、だいたい一発OKになりました。そうそう!3話の「GO!!」のOAを見た北川さんが「微風だな…もっと思いっきり当てて!」と乗り気になったんです。そしたら、次やったときにブワォ!ってすごい当てられて、「そう!」みたいなこともありました(笑)

――納得の「GO!!」が出たんですね(笑)。ところで、三軒家万智にモデルとなった人物はいるんですか?

キャラクターを作るにあたって、脚本の大石静さんと、正義感を振りかざすよりはミステリアスの方が面白いんじゃないかという話はずっとしていたんですが、一方でお金のために家を売っているという人が視聴者に好かれるんだろうか、反感を買わないだろうかという不安があったんです。

そんな中、今回約30人の不動産屋さんに取材したんですが、30歳くらいの女性営業マンの方が「私はこの仕事をして、自分より明らかに年齢も肩書きも上の人に『あなたに家を探してもらえて本当に良かった』と感謝されました。この仕事はお客さまの人生を背負っている。だから私は医者や弁護士と同じように"先生"と呼ばれてもいい仕事だと思っています」と言っていたんです。それを聞いて、やることをやっている主人公であれば、あまり反感を買われないのかなと思うようになりました。今回取材した30人の不動産屋さんたちからは、他のキャラクターの要素にも生かしています。

14日放送の最終話より=日本テレビ提供

――見事に小田さんに家を売った営業マンはどんな方でしたか? もともと買うつもりのないお客さんに買わせるなんて、相当な敏腕だと思いますが。

男性の方で、やっぱり上手でした。気づけば転がされていましたね(笑)。私たちと運命共同体という気持ちで家を探してくれたそうですが、私に売った後に「この仕事辞めます」って連絡が来て、思わず「おいっ!」って突っ込んでしまいました。今でも連絡はとってますけどね(笑)

――本当の不動産屋の方は、このドラマを見てどんな感想を持ってるんですかね?

ネットなどで評判を見ているんですが、「これはあり得ない」とか「これはあるあるだ」とか、誰の感想よりも興味深いです。結構取材からもらったエピソードもあるんですが、まず皆さんが面白おかしく楽しそうに話すのは、愛人に家を売った話と、事故物件の話ですね(笑)。それから、これは第3話に出てきたんですけど、ペットのカメのためにサンルーム付きの1億円の家を買ったという話は、実話のエピソードです。ドラマの中では、1億5000万円の家を3億円で売った(第4話)みたいな、あり得ない話もあるんですが、細々とした話は、わりと"あるある"だったりするんです。

――不動産屋さんの日常で起こってることが、ドラマなんですね。

そうなんですよね。そういう面白い話はどんどん入れていったので、不動産屋さんの評判を見るのが楽しみなんです。あと、不動産屋さんは「契約が水に流れないように」という説で水曜日は縁起が悪いから定休日のところが多いんですが、それで「不動産屋が休みの日に放送するのはさすがだ!」と言ってくれて(笑)。見やすいと思ってもらえているとうれしいですね。