「私に売れない、家はありません!」「家を、売るためです!」「GO!!」…北川景子が目をカッと見開いて叫ぶそのセリフに、最初は違和感を持ったものの、次第に快感に変わってきた視聴者も多いのではないか。
日本テレビ系ドラマ『家売るオンナ』が、きょう14日22時からついに最終回。次々に家を売っていく北川演じる不動産屋のスーパー営業ウーマン・三軒家万智は、SNS上でも「おうちを探してもらいたい」「憧れます!」と大人気だ。常に命令口調で無愛想な言動を見せてきた彼女が、なぜここまで愛されるのか。その理由を日本テレビの小田玲奈プロデューサーに聞いたので、つべこべ言わずインタビュー本文へGO!!
――今回『家売るオンナ』が初プロデュース作品ですよね。日本テレビに入社してからは、どのような番組に携わってきたのですか?
最初から「ドラマを作りたいです!」って叫んで入社したんですが、入社後はまず朝の『ズームイン!!SUPER』を5年間担当しました。その間もずっと「ドラマに行きたい!」と言っていて、制作局に異動することになり、これは絶対ドラマだ!と思ったんですが、バラエティだったんです(笑)。そこからしばらくはドラマ志望と言わないようにしてたんですけど、あるタイミングでそろそろいいだろうと思って「ドラマやりたいです!」と言ったタイミングが、ちょうど良かったみたいで、ドラマ班に来ることになりました。
――それから『家売るオンナ』の企画を出したんですか?
異動するより前のバラエティ時代に『有吉ゼミ』で「坂上忍、家を建てる。」というコーナーに携わっていたとき、これはドラマとしても面白そうだと思って出した企画が『家売るオンナ』なんです。それがドラマ班の方で好評になってボツにせず残してくれていて、私が異動してから1年間は、尊敬していた先輩の櫨山裕子さんの下について、ドラマづくりをいろいろ教えていただいて、いよいよ自分がプロデューサーデビューというときに、「この企画出してたんですけど…」と掘り起こして成立したという流れですね。
――実際に不動産屋への取材もいろいろされたんですよね。
企画が走りだしたときに、旦那と一緒にお客さんになって、家の内見に行く車の中で「困ったお客さんとかいますか?」と聞いたりして、潜入取材のようなことをしていました。そうやっていろいろエピソードを聞き出すのが目的だったんですが、見る家見る家が楽しくなっちゃって、私、家を買っちゃったんです(笑)
――え!? 取材目的だったんですよね!?
そうなんです。でも、だんだん話が変わって本気になってきちゃって(笑)。日本テレビは生田スタジオ(神奈川・川崎市多摩区)でドラマを撮ることが多いんですけど、そこに近いところに家を買ってしまいまして、バラエティに戻って汐留(本社)に通うとなったら遠くなってしまうので、これは何としてでも当てないといけないという覚悟を持って、今回の作品に臨みました(笑)
――『家売るオンナ』は、この7月クールのドラマで平均視聴率トップを走っています。ひと安心ですね(笑)
はい。35年ローンを組んじゃったので、しばらくは大丈夫かなと(笑)
――今作は主演の北川景子さん演じるスーパー不動産営業・三軒家万智というキャラクターが、ものすごく立っていますよね。目を動かしたり振り向いたりするたびに効果音が付いて、まるでロボットのようなキャラクターですが、なぜあのような設定になったのですか?
今、連続ドラマは本当に頑張って脚本も丁寧に作ってちゃんと撮っているのに、なかなか視聴者に見ていただけないね、という話をしていて、監督の猪股隆一さんが「もしかしたらスベるかもしれないけど、演出を普通の日常よりも、何段階か上げたオーバーな動きがまかり通るような設定にしよう」と決意されて生まれたんです。
『家売るオンナ』 |
――スベるどころか、第1話で、三軒家万智が木に登っては落ち、木に登っては落ちと、何回も諦めずにやっていたシーンは、まるでターミネーターのような動きで爆笑してしまいました。その決意から、部下たちが営業に出るのを躊躇(ちゅうちょ)するときに、三軒家万智がアップで「GO!!」と叫ぶシーンも生まれたんですね。
あのシーンは、北川さんに風を当てて、髪をふわっと舞うようにしているんですが、脚本に「風が吹く」というト書きは一切書いてなかったので、私の中では大人っぽく「GO…」って言うだけのイメージでした。風まで当てると日本テレビでいうと土曜ドラマのような演出だったので、水曜ドラマの視聴者に喜ばれるのだろうか、と悩んでいたんですが、あるタイミングから「なんじゃあれは!?」と評判になってきたので、皆さんに引っかかったということで、成功したんだと思います。