―― Dellのワークステーションについて、これまでの変遷をご紹介ください。

ラウール氏「歴史を簡単に説明すると、Dellはだいたい20年前に、ワークステーション事業を発足させました。1997年にx86プロセッサを使ったワークステーションを世の中に投入して以降、業界に先駆けたワークステーション製品を発売しています。

例えば、モバイルワークステーションは2001年にリリースしました。先述のデータセンター向けラックマウント型ワークステーションは2008年の投入です。薄型軽量のノート型ワークステーションは2013年に初めて発売しており、今年(2016年)の3月には没入型ソリューションなるVR対応ワークステーションを発表しています。業界をリードするイノベーションとトレンドを先取りしているのが、Dellのワークステーションです。

ちなみに、VR対応ワークステーションは最新のGPUを搭載しており、HTC ViveやOculus Liftの動作に対応したものとなります。VRコンテンツの『90fps』表示という、厳しい基準を設けている高品位な開発要件も満たします。なお、VR対応のノート型ワークステーションは、現在では90fps表示の実現が難しいのですが……、おそらく来年(2017年)の第1四半期にはご紹介できるでしょう」

VR対応ワークステーションは、「Dell Precision タワー 5810/7810/7910」および「Dell Precision ラック 7910」をベースとする

―― 近い将来のワークステーション市場で、コレというトレンドをどのようなものだとお考えでしょうか?

ラウール氏「没入型インタフェースでしょう。短期的にARやVRがビジネスに結び付くかどうかは別として、コンピューティングの将来を考えると、没入型で自然な対話的操作を可能にすることは重要です。その1つがVRだと考えています。

今では当たり前になりつつありますが、ペンやタッチUI、最近ではジェスチャーやボイスといったナチュラルUIの先に、没入型インタフェースが来ると思います。ほかにも、4K、8K、Adebe RGB 100%のカラー、高輝度の画面、AI、VRといった要素が、将来のコンピューティング市場を変えていくでしょう」

パット氏「人々の働き方が以前とは変わり、コラボレーションが大きな要素になっています。もはや一人が1つの仕事を完了させるという働き方ではありません。

Dellのようなクリエイティブな会社であっても、アイディアを共有して次世代のやり方を考えていくという方向性が強くなっています。ワークステーションのユーザー企業となる速い車を作っているメーカー、安全な機体を作る航空会社であっても、コラボレーションがカギになっています。

チームのコラボレーションを促進するうえでも、仮想環境でのワークステーションがより有望となるでしょう。特に、企業の知財を守る重要性が一層高まっているため、データセンター内にセキュアな仮想ワークステーション環境を構築し、世界中どこからでもアクセスできるというメリットは非常に大きいのです」