―― 欧米より日本のほうが、ノート型が少ないというのは少々意外です。これには何か理由があるのでしょうか?
ラウール氏「これは『働き方』の違いであると分析しています。欧米、特に米国の会社は近年、働き方がとても柔軟になりました。
平日に会社で仕事をするだけでなく、時間外に自宅から、あるいはリモートオフィスやカフェからと、さまざまな場所で仕事をするケースが増えています。このため、モビリティ、すなわち高いパフォーマンスのノート型ワークステーションが要求されるのです。
また、デジタルネイティブな『ミレニアム世代(※)』のビジネスパーソンが、このような仕事環境、働き方を好むという事情もあるでしょう」
パット氏「1つ補足すると、技術的な革新も大きな理由です。
以前ならば、デスクトップ並みの性能を得るためには、3.6kgぐらいの重いノート型ワークステーションとなってしまっていました。しかし、例えば現在のPrecision 15 5000シリーズならば、その半分、1.8kgほどの本体で同様の性能が得られるようになりました」
※ミレニアム世代:米国で1980年代から2000年代初頭に生まれた世代を指す。幼い時期からPCなどのIT機器に触れて育ったことから、デジタルネイティブとも呼ばれる。
―― 少し話が戻りますが、先ほど話題に上った「仮想型のワークステーション」とはどのようなものでしょうか。
ラウール氏「ラック型のワークステーションをデータセンターに置き、リモートでアクセスすることです。一例として、自動車メーカーの車体設計モデルが挙げられます。これは非常に重要な財産ですので、盗まれたりデータを損失したりしないように、セキュアに保管しておきたいという強いニーズがあります。管理が厳重で安全なデータセンターで、ラック型ワークステーションにデータを入れて、リモート接続でデータを扱うという意味です。
また、手元ではタワー型ワークステーションを使って日々の業務を行い、時間のかかる処理をデータセンターのワークステーションに担当させるという、ハイブリッドな利用方法もあります」
ラウール氏「Dellという会社は、エンドツーエンドでテクノロジーを提供しています。データセンターのソリューションを持ちながら、シンクライアント端末やPC、ワークステーションも提供しているという、他社にはないユニークな会社です。手元の端末は、シンクライアントでもPCでもワークステーションでもよいのです。データセンターのソリューションを含めて、Dellはこれらの機器をすべて提供できます」