続いて「地震体験コーナー」へと案内してもらった。同コーナーでは最大で「震度7」(年齢制限あり)までの揺れを実際に体験できる。

地震時には上から落ちてくる物だけではなく、揺れによって水平移動してきた物にも注意が必要だ。これらの危険から頭を守るため、机の下に隠れるように学校で学んだ人も多いことだろう。

「それでも、震度7ぐらいになってくるとテーブル自体も動いてしまいます。そのため、テーブルの下にもぐったらテーブルの脚をつかみましょう。そうすることで机と自分の体を固定できます」と内田さんは話す。筆者も直下型の震度7を体験させてもらったが、何かにつかまっていないと体ごともっていかれそうな感じだった。

震度7の様子。2枚の写真を見比べると、一番左にあるタンスが激しく揺れているのがわかる

また、直下型以外の揺れも経験させてもらった。東日本大震災で震度7を記録した宮城県栗原市での地震を再現した揺れで、縦に激しく揺れる直下型と異なり、前後左右にぐるぐると回される感じだった。これだけ揺れの「質」が違うと、想定される被害やリスクも異なってくるはずだ。

長周期地震動の恐怖

オフィスで大きな地震に見舞われた場合は、周期の長いゆっくりとした大きな揺れの「長周期地震動」に注意が必要だと内田さんは話す。長周期地震動では、ビルのような高い建物で大きな横揺れが起きるため、キャスターが付いている物が"凶器"へと変わる。また、帰宅困難になることを想定して、会社にもある程度の備蓄品などを用意しておく必要もある。

地震に備え、家具の転倒防止にも工夫をしておかなければならない

「会社で被災された場合、ご自宅にお子さんや高齢の方だけとり残されてしまうという事態も起こりえます。それぞれのご自宅で用意する物は違うので、しっかりと前もって準備しておきましょう」と内田さん。

備蓄用食糧は最低でも3日分のストックを、とのことだったが自宅・オフィス共に準備しておらず。早急にしなければ……! そして、このコーナーを通じて地震に対する認識が甘いことを痛感した。

初めての消火体験

お次は「消火体験コーナー」だ。幸か不幸か、筆者は一度も消火器を使用した経験がないので、みっちりとレクチャーしてもらった。日本の消火器の仕様は基本的に同じため、「安全ピンを抜く」→「ホースを燃えているものに向ける」→「レバーを握る」という手順で噴射できるという。使用時のコツは以下の通り。

■しっかりと燃えているものに噴射するため、ホースは先端部分を持つ

■持ち運ぶ際は消火器の上下に分かれているレバーの下と底を持ち、落とさないようにする

■煙を吸わないよう、姿勢を低くしたまま噴射する

■すぐに逃げられるよう、出口のほうに背中を向けた状態で噴射する

■自身の安全確保のため、逃げる目安となる炎の高さを決めておく

実際の火災現場では、消火前に周囲の人に火事を知らせるために「火事だー! 」と大声で叫ぶ

まったく知らなかったのだが、消火器には使い方や中身が飛ぶ距離、噴射可能時間などがきちんと書かれている。そして、中身も粉や液体といった具合に種類があり、それぞれで飛ぶ距離や噴射時間が異なるとのこと。そうなのか……。

「いざ」というときに経験をしているか否かは、非常に大きな「差」を生む。そういう意味でも、映像の火事を相手に消火作業を体験できた(消火器の中身は水)点も大きかった。