ソニーモバイルコミュニケーションズは8月23日、東京電力エナジーパートナーとスマートホーム分野でのIoTを活用したサービスに関して、業務提携の検討をすることで合意したことを発表した。なぜ、「Xperia」ブランドでコンシューマー向けにスマートフォンを提供するソニーモバイルが、東京電力と協力してB2B2Cの形でのサービス展開を進めるに至ったのだろうか。
ソニーモバイルと東電がスマートホームで協業
ソニーの子会社であるソニーモバイルコミュニケーションズ(以下、ソニーモバイル)は、「Xperia」ブランドのスマートフォンを提供していることで知られる企業だ。そのソニーモバイルが8月23日、やや意外ともいえる発表をした。それは、ソニーモバイルと東京電力エナジーパートナーが、スマートホーム分野でIoTを活用したサービスの開発と提供に向け、業務提携の検討をする基本合意書を締結したというものである。
東京電力エナジーパートナーは東京電力グループの小売り電気事業者であり、モバイルとは関係が薄い企業だ。そうした企業と、スマートフォンを主力事業とするソニーモバイルが提携すること自体、不思議な印象を受ける人も多いのではないだろうか。
両社のリリースによると、ソニーモバイルは「双方向のコミュニケーションを可能にする商品や通信技術、わかりやすいユーザーインタフェースのデザインおよびサービス・ソリューション構築のノウハウ」を有しており、東京電力エナジーパートナーは「顧客基盤およびHEMSを含む電気使用に関する技術やノウハウ」を有しているという。その両者の強みを組み合わせることにより、IoTを活用し、利用者のライフスタイルに合わせたサービスを提供することが、両社の主な目的になるようだ。
確かに最近、スマートホームの分野はIT業界でも大きなトレンドの1つとなってきている。海外ではAI技術を活用して家電などを制御できるアマゾンの「Amazon Echo」が人気を高めているほか、グーグルやアップルがAmazon Echo対抗のサービスや製品を投入するなどして盛り上がりを見せている。
しかしながら、先にも触れた通りソニーモバイルはモバイル、しかもコンシューマー市場に強みを持つ企業だ。IoTでモバイルに関連する部分があるとはいえ、今回の取り組みはソニーモバイルが得意とするB2Cではなく、東京電力エナジーパートナーが提供するサービスにソニーが技術協力する、B2B2Cの取り組みになると考えられる。なぜソニーモバイルが、スマートフォン以外の分野で、しかもB2B2Cによるビジネス展開へと至ったのだろうか。