飽和する中国市場
中国市場におけるスマートフォンの急成長は2015年に既に終焉を迎えたと言われている。スマートフォンの普及率は9割を超え、新規購入者がいなくなりつつあるという。実際、2016年第2四半期における中国市場での販売台数の成長率はわずか4%だった。
これからは買替え需要を喚起していかなければならないが、2016年の中国経済は、年初の株式市場の混乱などもあり、高付加価値路線よりも、価格を魅力に感じる市場へと変化しているのではないか、と考えられる。
前述の急減速を受けたシャオミは、9割が中国市場向けであり、同社の減速は中国の中~高付加価値のスマートフォンに対する需要を図るベンチマークだ。最も価格が高い部類にあるアップルのiPhoneとともに販売台数が下落している様子は、中国市場における高付加価値スマートフォンの購買力が落ちていることを表している。
脱中国の難しさ
アップルは、米国、欧州、中国、日本に加え、インド市場の開拓にも着手している。ティム・クック氏は中国に続いてインドを訪問し、地図を中心とした研究開発拠点の開設や、iOSアプリ開発のサポート拠点を設置するなど、インドに対する投資と関与を強める姿勢をアピールした。
インドでは、単一ブランドのみを扱う店舗を設置するには、5年間、インド製品を3割以上置かなければならない、などの制限がある。Apple Storeの設置にも、トップ会談を通じて実現しなければならないほど、難しい市場だ。
また、インドの平均的なスマートフォンの価格は150ドル以下に設定されている。400ドルに価格を下げたiPhone SEですら、2.5倍以上の値付けとなっている。新品のiPhone 6sは、6倍以上だ。そこで、中古のiPhoneの販売を行おうとしているが、当局から中古品販売の承認が下りなかった。
Strategy Analyticsによると、インドのスマートフォン市場におけるアップルの出荷台数は、価格が安いiPhone SE投入直後の2016年第2四半期に、前年から3割減となり、iOSのマーケットシェアも2.4%と2.1ポイント減少している。インドも一筋縄にはいかない状況にあることがわかるだろう。