新たな売り方「専用SIM」には賛否両論

MVNO市場全体の動きとしては、今秋にも参入するといわれているLINEモバイルの存在がやはり各社気になるところだ。LINEはすでにインフラの一部として認知されつつあるコミュニケーションサービスであり、LINEの利用料ぶんのパケット料は無料になるということであれば、ユーザーにとっては大きな魅力となりうるからだ。

こうした、特定のアプリケーションの利用パケットを無料にする試みとしては、米ナイアンテック社の「ポケモンGO」もある。すでに数社がポケモンGO専用のSIMを発売することを発表している。まだ様子見のMVNOでも、興味を持っている会社は多い。

一方、こうした特定のアプリの通信だけを無料にするのは、パケットの内容を選択的にするのは通信の秘密に触れることになるため、法的に問題があると指摘する声もある。もちろんユーザーの同意はあるので問題ないとする考え方もあるわけだが、司法の判断が下るまでは、ある程度のリスクになるのは事実だ。

またmineoは、「そもそもポケモンGOもLINEも、そこまでの高速通信を必要としないサービスである」と指摘し、「弊社であれば高速通信を利用するためのターボスイッチをオフにしてもらい、200kbpsにすればパケットは使い放題になる。その状態で使ってもらえばいい」と、運用上の工夫で十分であるとする考えを示している。

特定サービス専用SIMというのは法的な問題であったり、本当にユーザーにとって必要だったり、お得なサービスなのかがわかりにくいという指摘だが、一方でプロモーション的には大変わかりやすいサービスであるのも事実。ヒットアプリの登場次第ではあるが、今後もわかりやすさを武器に初心者層へアプローチする手段として広まりそうだ。

総務省や公正取引委員会の報告書により、今後ますますMNOへの圧力は高まり、MVNOへの注目は高まってくるだろう。これまでと違ってリテラシーの低いユーザーをいかにトラブルフリーに取り込めるかが、MVNOの成長を占う上で重要なポイントになるのではないだろうか。