新規ユーザー獲得のための方策は?

昨年までとは様相を新たにしつつあるMVNOユーザーだが、確実に言えることは、初期のMVNOユーザーのようにリテラシーの高いユーザーの比率はどんどん下がっていくということだ。自分で設定を変更してSIMを差し替えられるユーザーばかりではなくなり、料金プランの比較から誰かのサポートを必要とするユーザーの比率が増えていく。

こうした新たなユーザー像に対して、各キャリアはサポート体制を充実するかたちで対応していこうとしている。MNOが全国にくまなく展開している店舗網は数千件単位となっており、各店舗がユーザーサポートの窓口を兼ねている。これに対してMVNOはそこまでサポートに予算をかけるわけにいかないため、ある程度はユーザーの知識に委ねている部分があった。

しかし、今後ユーザー層が広がるにつれ、ユーザー任せでは立ち行かなくなるのは間違いない。携帯電話はすでにライフラインとなっているだけに、問題があってもすぐに対応できる安心感の醸成が求められているのだ。すでにいくつかのMVNOでは直営店を展開し出しているが、出店は大都市部に限られ、すべてのユーザーをカバーするわけにもいかない。 そこで実際的な動きとして注目されるのが、販売店との連携だ。たとえばMVNOシェアトップのOCNモバイルはレンタルCDのGEOと提携して、GEOの店頭でSIMを販売するとともに、いくつかの店舗ではサポートも可能な体制を展開している。イオンモバイルでも、全国のイオン店頭で修理受付などのサポート窓口を用意して対応している。

OCNモバイルではGEO店頭で即日受け渡し可能な窓口を今秋までに170に増やす予定。MNOほどではないにせよ、かなりの人口をカバーできるようになる

一方、一風変わった方策をとっているのがmineoだ。mineoではオンラインでユーザー同士による情報交換やサポートを積極的に展開する方針をとっており、発売のたびに問題となるiPhoneでの利用も、ユーザーとキャリアが共同で解決するなど、一定の成果を上げている。規模が大きくなる中でも機能していくかは未知数だが、MNOキャリアにはできないMVNOらしい試みとして評価できるだろう。

mineoの「マイネ王」はユーザー相互の情報交換がウリ。MNOにはない手作り感を評価する声は大きい