見え過ぎちゃって困る!

今回、作例を撮影していてもっとも多く抱いた感想は「困った」だ。何がそんなに困るのかというと「写りすぎる」のである。7,360×4,912ピクセル、有効3,640万画素の高解像度画像は、拡大しても拡大してもピントの芯が明瞭に描写されている。この解像感は想像を大きく超えており、かつてのK-5、K-3時代とはもはや完全に別物だ。それゆえ、街の中や電車を撮影すると、フォーカス範囲に存在する小さな人物の顔が原寸画像でははっきりと判別できてしまう。これでは (大人の事情により) 作例としてそのまま掲載するのが憚られる。

しかも、K-1はフルサイズ機とは思えないほどミラーショックが小さく、内蔵式手ブレ補正機構「SR」も格段に進化した。5軸補正式となったその効果は同社最高のシャッター速度5段分であるという。また、カメラをパンニングすると、流し撮りに最適な制御が自動で行われるとあって、乗客の顔までバッチリ写るのだ。

世田谷線は若林踏切で一時停止することが多く、通過時はかなりの低速走行になる。それでもスピード感を表現したかったので、思い切ってシャッター速度を1/40に設定。普通なら滅茶苦茶にブレて終わりだが、手ブレ補正機構の優秀なK-1なら、ピント位置が「止まる」のだ。TAvモード (F8 1/40秒) ISO160 WB:オート レンズ:HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR 以下、作例はクリックで拡大後、原寸大画像を表示可能

写真の一部を切り出して縮小をかけた画像を掲載するので、ご覧いただきたい。窓際の女性には顔までしっかりピントがきているが、残念ながらモザイク処理した。美人だっただけに、なおのこと残念だ。もちろん、作品撮りにはきわめて心強い性能であることはまちがいない。

引きで車両全体を流し撮りした画像から一部を切り取ったもの。「見え過ぎちゃって困るの~♪」というCMソングが昔あったが、今回はまさにこれに悩まされた。F8、1/100秒の設定で乗客がバッチリ写ってしまう (やむを得ずモザイク処理)

ちなみに、原寸画像も掲載した流し撮り作例のシャッター速度は、なんと1/40秒。それでも、運転席の窓枠はしっかり止まっている。これが可能ということは、すなわち、光量が十分に得られない場所でも、スローシャッターで流すことでISOを稼ぎ、画質を担保できることに他ならない。海上自衛隊機「LC-90」の写真はその好例だ。梅雨時の曇り空で、かつ撮影時刻は18時過ぎ。当然十分な光量はない状況でありながら、ISO400でシャープな像を得ることができた。

鈍曇りのうえに時刻も遅く、光量を確保できないこと。そしてプロペラの回転を表現するために、シャッター速度を1/160に設定。シャッタースピード優先AE (F4 1/160秒) ISO400 WB:オート レンズ:HD PENTAX-D FA★ 70-200mmF2.8ED DC AW

空港付近での撮影といえど、飛行機が被写体だと200mmではやはり焦点距離が足りない。そこで被写体を中心にクロップしたのが下の写真。縮小は一切かけず、純粋にクロップしたものだが、これでも600万画素の解像度がある。高画素機は、こういう場面でも強い。

このサイズの飛行機には、70-200mmではやや焦点距離が足りない。そこでクロップして周囲をばっさりトリミング。これでも600万画素の解像度がある。描写も撮影条件を考えれば想像以上だ