今回は、4月に発売されて大いに注目を集めたフルサイズセンサー搭載一眼レフ「PENTAX K-1」のレビューをお届けする。といっても、本誌ではすでに永山昌克氏の正鵠を射た実機インプレッションが掲載されているので、機能面の詳細はそちらに譲り、ここでは実写作例を中心にレビューを進めたい (永山氏執筆時は試作機を使用したため、原寸画像を掲載できなかった)。
HD PENTAX-D FA70-200mmF2.8ED DC AWを装着
さて、今回の作例撮影に伴い、リコーイメージングから3本のレンズを借りた。手頃な標準ズームとして評価の高い「HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR」。PENTAXユーザーにとって定番中の定番単焦点「リミテッドレンズ」から、フルサイズセンサー搭載機では標準レンズとして使える「smc PENTAX-FA 43mmF1.9 Limited」。そして、K-1よりひと足早く発売されたスターレンズ「HD PENTAX-D FA★ 70-200mmF2.8ED DC AW」だ。
ではまず、それらレンズの外観と特徴を紹介しておこう。ただし、今回はレンズレビューではないので、あくまで簡単に。
HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WRは、ズーム倍率に無理がなく設計に余裕があるのか十分以上の高画質。最短撮影距離が50cmと寄れないことと、DCモーターの駆動音が動画撮影に影響してしまうのは弱点といえる |
FA43mmF1.9 LimitedはコンパクトなK-1にピッタリ。APS-C機では66mm相当と、帯に短し襷に長しという画角だったが、K-1のおかげで本来の魅力が味わえるようになった。几帳面なほどの作りの良さ、クラシックなデザインも所有欲を刺激する |
新開発ナノテクノロジー「エアロ・ブライト・コーティングII」を採用。「HDコーティング」と併用することで、ゴーストやフレアーの発生を効果的に抑える |
操作必須の撮影距離設定スイッチと、クイックシフトフォーカスの動作切り替えスイッチ。後者はAF動作後にQFSが効くモードと、AF動作中でもQFSが効くモードの両方が用意されている |
PENTAXらしさが炸裂している、K-1の操作性
PENTAXのカメラといえば熟成された操作性と、なるほどと唸らされるアイデア機構。それはK-1でも健在だ。発表時、おおいに世間の耳目を集めたフレキシブルチルト式モニターは言うに及ばず、新搭載の「機能ダイヤル」+「設定ダイヤル」で計9種類の各種撮影パラメーターを変更できる「スマートファンクション」も実に便利だった。特に、連写やブラケット撮影の設定、WiFi動作などをメニュー画面を介さずダイレクトに設定できるのは嬉しい。
ISOや露出補正も設定できる。しかし、設定ダイヤルではISOをオートにできなかったり、従来通りISOボタンあるいは露出補正ボタンを押しながらリアダイヤルを回した方が早いので、これは個人的に不要。そのぶん、機能ダイヤルにはカスタムイメージや測光モード切り替えを割り振ってほしかった。そうすることで、撮影の事前設定のほとんどをこれらのダイヤル周辺だけで完結できるはずだ。