シチズン時計が、スイスの独立系腕時計企業、フレデリック・コンスタントの株式を100%取得し、傘下におさめると発表した。現在、機械式腕時計を生産する企業のほとんどがスイスに籍を置き、企業グループに属している場合が多い。そうした企業グループとの競争力を高めるのが、今回の買収のおもな要因だ。

高価格帯の需要に対応

シチズン時計 取締役 グローバル企画事業部長 ムーブメント事業部担当 名取房満氏

「マルチブランド化することで、多様なニーズに応え、グローバル市場で戦っていける存在を目指します」と、シチズン時計 取締役 グローバル企画事業部長 名取房満氏は話す。名取氏は、今回のフレデリック・コンスタントのM&Aを主導した人物だ。

そもそもシチズン時計は、1920年代に完成した懐中時計を、内務相や東京市長を務めた後藤新平氏が「CITIZEN(市民・民間人)」と名付けたのが由来。以来、その社名に沿うように、普及価格帯の腕時計を中心に生産してきた。

だが、CITIZENブランドだけでは多様化する腕時計のニーズを広く取り込めない。特に高価格帯となるラグジュアリー製品への需要に対し、CITIZENブランドではなかなかリーチできなかった。事実、名取氏は「30万円以上の価格帯となると、CITIZENブランドの製品は苦戦します」という。