macOS Sierraで搭載されたウェブでのApple Pay利用方法を見ると、ある噂との整合性が思い当たる。それは、将来のMacBook Proシリーズに、Touch IDが搭載される可能性があるという指摘だ。
現在のところ、iPhoneのTouch IDを利用するが、本来であればMac単体でもApple Pay on the Webが利用できるようになるべきだと考えるのは自然なことだ。
となると、このOSがリリースされるであろう2016年9月前後には、Touch IDを搭載したMacが登場していても不思議ではない。もちろんデスクトップでも利用できるように、キーボードかトラックパッドへのTouch ID搭載も想定できる。
もう1つ、最近、米国内で見られるApple Payの変化は、カード決済以外への金融サービスへの展開だ。
実は、サンフランシスコが拠点のBank of AmericaとWells Fargo Bankでは、銀行のデビットカードをApple Payに設定しておくと、Apple Payで銀行口座から現金を引き出すことができるようになったのだ。
iPhoneで利用する場合、Touch IDで本人を認証していながら、さらに口座の暗証番号が必要な点は納得がいかないが、それでもiPhoneだけ持っていれば現金を引き出せるというのは便利さを感じる。
また、Square Cashのような個人間送金アプリは、銀行発行のデビットカードとひも付けて利用する仕組みになっており、Apple Payがデビットカードの情報を持っていることで、個人間決済をアプリに実装するための仕組みとして機能する可能性も出てくる。
このように、Apple Payをネイティブ対応するMacと、Apple Payの購買以外の金融サービスへの展開という2つの可能性が、今後開けてくることになるのではないか、と期待している。
松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura