日本酒応援団・共同代表の古原さん(左)と竹下さん(右)

料理、文化、京都に富士山、治安の良さ、そしておもてなし……と、世界に誇れる日本の“自慢”は数々ある。寿司やアニメのようにいまや世界中でもてはやされているものもあれば、一方で、古くから日本人に親しまれ、いわば日本人のDNAに深く染み込んでいるものでありながら、まだまだ世界に真の価値を知られていない“自慢”もある。その代表といえるものが、日本酒だ。

ここに、熱き想いを抱いた若者たちがいる。「日本酒を応援したい!」、その気持ちを名前に目一杯込めて、2015年7月、日本酒の魅力を国内はもちろん世界中に広く伝えるための会社を設立した。「日本酒応援団株式会社」である。

「日本酒のあるライフスタイルを世界中に」。

このコンセプトを旗印に、「日本酒が好きな人を世界中で増やし、日本酒と地元地域のさらなる発展に貢献すること」を社のミッションとしている。

日本全国を見わたせば、大量生産でどこの量販店でもお目にかかれる大きな蔵元もあれば、昔ながらの手作りを貫き細々と酒造りを続ける小さな蔵元もある。実際のところ、日本の酒蔵はかつて1万以上あったが、年々減り続けており、現在残っているのはおよそ1,500。そのうち9割以上が、後継者問題や販路拡大に日々苦心する小規模の蔵元だという。

マニア層だけでなくメジャー層にも日本酒を

2015年秋にアメリカで開催された日本酒展示会に出展。現地の人から「SAKEはこんなにおいしいものだったのか」という感動の声が続出したという

同社はそうした、“いい酒を造るのに知られていない”小さな蔵にスポットを当て、レストランへの営業や展示会への出展、ラベルのデザインやマーケティングを含めた製造・販売全般のサポートを手掛ける。さらには自らの体を通じて“造る”ところから知りたいと願う日本酒ファンに向けて、田植え体験や酒造り体験も提供している。

2015年秋にはアメリカで、今年春には香港で、日本酒展示会にも出展した。海外市場に存続の道を探る小さな蔵の背中も積極的に押している。

その同社が現在展開しているのが、日本酒の本当のおいしさをアメリカの人たちに知ってもらうことを目指して企画した「日本酒をおごる」プロジェクトだ。

アメリカは、海外における日本酒の最大の市場である。しかしながら現状では、日本酒の海外への輸出はフランスワインの100分の1程度にすぎない。同社共同代表の古原忠直さんは言う。

「アメリカで流通している日本酒の8割は現地生産、すなわちアメリカで造られた日本酒です。残りの2割も大量生産が可能な大手酒造メーカーのものがほとんど。それに、そもそもまだマニアに呑まれているだけで、日常に入り込んでいるとは言えません。私たちは日本酒の真の魅力をアメリカに広めることで、“日本酒のあるライフスタイル”を提案し、小規模ながら昔ながらの手作りにこだわり、いい酒を造り続けている蔵の海外進出をサポートしたいと考えています」。