女性向けの就職セミナーを実施

――女性社員を積極的に採用する意義についてよくわかりました。家電量販店というと一般的には"男性社会"というイメージもありますが、それを払拭するような取り組みは行っていますか。

2014年から女性社員による女子学生向けの就職セミナーを行っています。ここではビックカメラにおける女性ならではの取り組みなどを紹介しています。ほかにも、女性内定者に対して現場で働いている女性スタッフとの交流会を実施しています。

こうした取り組みのおかげか、新入社員の女性の割合は年々増えており、ここ5年間の新入社員は約半数が女性です。現在、労働組合などとも連携しながら、女性が今以上に働きやすい環境になるよう支援を充実させている最中です。

働き方に柔軟さを

――"働きやすさ"は大事な要素ですね。女性の場合、出産や育児のみならず、配偶者の転勤、介護による離職といったことも残念ながら考えられますが、具体的にどんな対策をしていますか。

ライフステージにより、働き方を変えざるを得ない時が出てきますね。主な理由としては配偶者の転勤、出産・育児などが多いですが、最近は介護も増えています。30代後半あたりに出てくる介護の問題は、介護休暇など今ある制度を周知徹底していこうと思っています。

配偶者が遠方へ転勤することが決まった場合、転勤先にビックカメラがないこともあります。その際は、ほかのグループ会社に勤務できるようにするなど、柔軟に対応しています。出産・育児については、育児休暇の延長が3年まで可能ですし、子どもが小学校3年生の年度末を迎えるまで時短勤務を延長できるのも大きな特徴です。

希望すればコジマなどグループ会社への配置転換にも相談にのる。写真はコジマ×ビックカメラ 西東京店が入る建物

――時短勤務を延長できるのは、いわゆる「小1の壁」(※)対策としてうれしい配慮ですね。

そうですね、こうした制度を利用している女性社員の中には、店長代理職や副店長職に就いている者もいます。中型店以上にはどの店にも女性幹部がいますので、後輩の良いロールモデルになっていますね。

※小1の壁:共働き家庭において、子どもが小学校へ入学する際に直面する問題。保育園は延長保育があるところが多いが、公立学童保育は18時で終わってしまうのが一般的で、保育園よりも預かり時間が短くなる。一方、子どもの小学校入学にともない、時短勤務制がなくなる企業も少なくない。小学校に入学すると、子どもが保育園の頃より早く帰宅するのに親の帰宅時間は変わらない、むしろ遅くなるというのが問題として挙げられる。このほか、小学校に入ると平日に親が参加する行事が増える、勉強面で親のフォローが必要、夏休みなど長期休み時の預け先の確保が難しいといった問題も含まれる。