男性社会というイメージが強い家電量販店だが、女性社員の割合が増えてきている。なかでもビックカメラには、女性として初めて30代で執行役員に選任された人物がいる。それがビックカメラ 執行役員人事担当部長の根本奈智香さんだ。
根本さんは、東京都多摩市にあるビックカメラ聖蹟桜ヶ丘駅店長などを経て、現在は人事担当部長の職に就いている。女性社員の立場として、そして人事担当部長として、根本さんにビックカメラの女性活用について話を聞いた。
女性の力を信じている会社
――ビックカメラの採用情報をみると「ビックカメラは女性が活躍できる会社です」というページが設けられていますが、改めて女性がどのように活躍しているのか教えてください。
ビックカメラはもともと、女性の力を信じてきた会社です。私が入社した20年ほど前から、すでに女性幹部が活躍していましたし、販売成績が良い女性の先輩も多く在籍していました。
家電製品の中で、家事・調理家電、美容家電は、女性のお客様が多い傾向にあります。「女性のお客様が相談しやすい環境作り」「女性のお客様への商品提案」には、女性スタッフの力が重要です。子育てや家事などの経験をふまえた、"女性目線"で商品を提案することで説得力も増します。
販売員一人ひとりの接客だけでなく、組織的な取り組みも行っています。女性スタッフが調理実演するチームの編成、女性社員が中心となって企画した美容家電コーナーの開設などが代表的な例ですね。
――たしかに、女性社員が売り場をプロデュースした「Bic beauty」(ビックビューティー)は、開設当時メディアで取り上げられるなど話題になりました。
Bic beautyは、ビックカメラ有楽町店など一部の店舗に設置しています。本部の女性担当者と、店舗の女性スタッフが協力して立ち上げたのですが、売り場のレイアウト、壁・床の色、POP、商品の選定・配置など、細かいところにまで意見を出し合ってこだわりました。
実際に商品を手にとって使えるよう、イスや鏡を設けた"お試しコーナー"を用意しているのも特徴のひとつです。このコーナーは「プライバシーに配慮した配置」「友達と一緒に楽しみながら試せるオープンな配置」といった具合で、店舗によって変えています。こうした視点を持っているのは、ふだんから美容家電やコスメを使う女性の強みといえるでしょう。
――売り場作りに女性社員の意見が役立てられているんですね。家電量販店にとって女性スタッフの声は重要であるということがわかりました。店舗運営にはどのような好影響があるのでしょうか。
大きく2つあります。1つめは女性のお客様に喜んでいただける店作りがしやすいということ。特に年配の方や女性からは、女性スタッフのほうが相談しやすいという声もよく聞かれます。2つめとして感じているのは、店内の環境が整えられるということ。具体的には、レジ内の整理整頓といった環境整備など。スタッフのやる気を引き出すのが上手な人も、女性には多いと感じています。