流通に革命をもたらしたパッケージ
通常、米の袋には空気穴があいている。しかし、アイリスオーヤマの販売する米はすべて密封パッケージ。さらに脱酸素剤まで同梱している。賞味期限が1年と長く、新鮮さをキープしたまま置いておけるので、店頭に並べておける期間も長くなるというわけだ。
これによって実現したのは、販路の拡大。米を売っているというとスーパーをイメージするが、アイリスオーヤマではホームセンターを中心にコンビニエンスストアなどにも米を展開している。グループ会社としてホームセンターのダイシンやユニディを抱えており、ホームセンターとのつながりももともと強かった。
アイリスオーヤマ 食品事業部 事業部長 山田次郎氏によれば、ホームセンターではこれまでも米を売っている店舗があるにはあったが、オマケ程度に置いてあるくらいのものだったという。「ホームセンターで米を買う」のが消費者の間で定着しておらず、なかなか売れないからだ。一定期間売れなかった米は品質劣化にともない、価格を下げて販売せざるを得ない。そのため、ホームセンターとしても積極的に売っていきたい類のものではなかった。
一方で、アイリスオーヤマの米は1年ほど店頭に出しておけるため、価格を維持したまま販売できる期間が長い。コンビニでの展開も同様だ。コンビニでは2kgの小容量パックを販売し、管理のしやすさで受け入れられているという。このように、密封パッケージはおいしさだけでなく、流通面でもメリットをもたらしたといえる。
山田氏いわく、米事業は「毎年2倍くらい成長している」とのこと。急激に成長しているのは製品の魅力はもちろんのこと、売場からトータルに手がけるアイリスオーヤマ独自の方法論があった。