突然、Webサイトの閲覧中に「警告 あなたのコンピュータでウイルスが検出されました」という音声が流れ出したら、冷静でいられるユーザーは多くないだろう。

その警告は、「提供された電話番号に連絡していただけるまでは、インターネットの使用、Webサイトにログインすることやオンライン上での商品の購入はなさらないでください」と続く。同時に、画面上にはポップアップも出現し、「注意:あなたのコンピュータでウイルスが見つかりました! サポート関係者に繋がるまで、コンピュータやインターネットを使用しないでください」と表示される。

実は、これらは全て偽のウイルス情報だ。ユーザーのPC画面には、ウイルスの駆除を行うと称したサポート詐欺の連絡先(電話番号)が表示され、連絡するよう促される。

IPAは2016年1月以降、情報セキュリティのトピックをかみ砕いて紹介する「今月の呼びかけ」を廃し、必要に応じて注意喚起や情報提供を行う方針に切り替えた。それが「安心相談窓口より」である。IPAに寄せられた相談がベースとなっている。今回は、ウイルス感染の偽警告を行う手口について紹介していく。

2015年8月にも流行

IPAによると、2015年8月にも同種の手口が流行した。それが、2016年3月以降、増加傾向にある(図1)。

図1 IPAに寄せられた偽警告の相談件数(図:IPA)

今回の手口によっては、Webブラウザを終了させられないこともある。このことから、ウイルスなどの知識が乏しいユーザーは、不安にかられ、表示された電話番号に電話してしまうケースが多い。IPAによれば、これはウイルス感染ではなく、定期的にポップアップ画面を表示させる設定になっているだけとのことだ。これが、Webブラウザを終了できないと誤解を招く原因となっている。

2015年8月の偽警告では、サポートと称して遠隔操作プログラムがインストールさせられることもあった。いずれにせよ、この偽警告を除去する解決策にはならないので、電話連絡すべきではない。