課題はまだまだ山積
消費者庁のHPには、企業が消費者庁に届け出た内容が公開されており、今までの制度と比べると透明性が高いとの評価がある機能性表示制度。今まで述べてきたとおり、企業の参入も今までに比べてしやすいし、表示方法にも柔軟性があるといったメリットがある一方、企業の責任によって健康効果が表示できてしまうため、届出情報のレベルに企業間で差あることや、消費者が届け出情報を読んでも理解するのが困難であったり、広告で可能な表現の明確なルールが存在しなかったりといった課題が残されている。消費者庁ではこれらの課題解決に向けた検討を進めていて、今年の秋ごろには報告書が取りまとめられる予定だ。
よくわからないまま利用している人多し!?
食と健康に関する情報サービスを手がけるリンクアンドコミュニケーションが2016年5月に実施したインターネット調査によると、特定保健用食品や栄養機能食品など、複数の健康表示(ヘルスクレーム)制度が存在する中、健康食品を日常的に利用している消費者が多い一方、これらの制度に対応した健康食品の違いをきちんと認識しておらず、どのように選択すればいいのかわからない人が多いことが明らかになった。
健康食品の利用頻度について週に1~7回消費している日常的な利用者がおよそ7割と多く、残る3割もなんらかのタイミングで利用していることから、健康食品が、私たち日本人にとってとても身近な存在になっていることがわかった。
その一方で、「機能性表示食品」や「特定保健用食品」「栄養機能食品」といった健康食品の違いの認識について尋ねたところ、違いを認識していた人は3割にとどまり(「はっきりと違いを認識」と「ある程度違いを認識していた」)7割が違いをわかっていない現状が明らかになった。
客観的データを集約、提供するというビジネス
同社は、機能性表示食品に対する専門家の客観的な評価などを掲載する情報発信サイト「キノウノミカタ」を開設した。ここで評価するのは、管理栄養士などの食と栄養、健康情報に関する専門家で、公衆衛生学修士が届出情報を整理し、管理栄養士が実際に食べてレビューするなどして評価をするという。消費者は無料で、専門的・客観的な評価を見ることができるため、健康食品を購入する判断材料になる。
機能性表示食品を販売している業者に対しては、有料で専門家による詳細なレビュー情報を提供するという。それによって、今後の研究開発や、自社が取り組んでいる商品や成分に対する専門家の認知や考え方を把握することで今後の商品開発に役立てることができるという。
健康食品はそのほかの食品に比べて高額なものが多いため、購入には慎重になる人もいるだろう。一方で、日々の不摂生に対する免罪符的に利用してしまうこともある。自分に最適なものを選ぶための情報をどうやってキャッチできるか。機能性表示制度がスタートして企業の参入もこれから増加することが予想されるからこそ、第三者の目を利用しながら賢く判断していくことが消費者には求められる。