ネイトロボティクスの竹田社長は、1991年に立命館大学法学部を卒業後、トーメン (現・豊田通商) において、世界各国の海外営業を担当。その後、セイコーエプソンに移り、エプソン・インディアの設立に関わり、その社長に就任。約4年間をインドで過ごした。帰国後、日本ヒューレット・パッカードに入社し、コンシューマ&ウエブソリューション統括本部長などを歴任した。2010年4月には、ロジクール代表取締役社長に就任するとともに、韓国ロジテック社長も兼務。2015年9月にネイトロボティクスへ入社し、同年10月にネイトロボティクスの代表取締役社長に就任した。2009年には東京理科大学大学院 技術経営修士 (MOT)を取得している。
ネイトロボティクスの社長就任は、ロジクール社長時代につながりがあったネイトロボティクスのCEO ジャコモ・マリーニ氏から声が掛かったのがきっかけだ。
日本市場での存在感を高めるために
欧米系企業の日本法人社長としてネイトロボティクスで働く価値は、本社にダイレクトにもの言える関係性にもあると竹田社長。IT系の大企業であるほど日本法人は本社直下ではなく、アジア太平洋地域の管轄下となるケースが多い。その点ネイトロボティクスは、「社員数が全世界で100人という少数精鋭の集まり。社内の階層が少なく、米本社に対して日本からの声が直接あがりやすい環境にある。シリコンバレーのIT企業としての文化もあり、物事をすばやくかつダイナミックに進めて行く楽しさがある」と語る。
2014年5月に設立した日本法人は、ネイトロボティクス初の海外現地法人。すでに、日本からの要求を反映して、フィルター部分のゴミを除去するためにクリーニングツールを付属。全世界でこれを標準装備するという実績も出ている。
だが、米国では着実に実績が上がっているネイトロボティクスだが、「日本では、まだ立ち上げフェーズ」にあるのも事実だ。
国内ではエム・エス・シーが代理店となり、ビックカメラやコジマなど大手量販店に展開。約50店舗で店頭デモストレーションが行える体制を整えたが、さらなる販路拡大は喫緊の課題だ。同時に、米国のようにネット販売にも弾みをつけたいとする。
また、知名度向上に向けた施策も強化する姿勢をみせる。量販店店頭では独自のPOPを用意。これによって店頭での存在感を高める考えだ。
「現段階のターゲットは、首都圏をはじめとする都市部のマンションなど60平方メートルほどの家庭で暮らす、35~50歳の共働き家庭。まずはロボット掃除機を選ぶ際に、ネイトロボティクスを選択肢のひとつにあげてもらうことを目指したい。今後1年の間に少なくとも、Dシェイプデザインのロボット掃除機があったな、と思ってもらえるところまで認知度を引き上げたい」とする。
さらに、「認知度が高まり、製品に触れる機会が増えれば、必ずネイトロボティクスの良さをわかってもらえる。製品には自信がある。認知度を高めることが事業成長につながる」と自信も見せる。
竹田社長が就任して以降、販売台数は前年同月比5倍で推移しているという。まだ分母が少ないため伸び率が高いともいえるが、存在感は着実に上昇している。
「3年後には高価格帯のロボット掃除機で、20%のシェアを獲得できる水準にまで引き上げたい」と竹田社長。これからの成長に向けてどんな戦略を描くのかが注目される。