ATH-CKR100を一聴して感じたのは、その解像度の高さだ。定位も明確で、低域から高域までバランスよく出る。特に、量感があり適度に引き締まった低音は見事で、音楽の躍動感を十分に表現する。

バランスのよさゆえ、幅広いジャンルに対応できるようだ。たとえば、ノラ・ジョーンズの「Carnival Town」(FLAC 192kHz/24bit)を聴いてみると、濃密かつ艶ややかで実在感のあるボーカルを楽しめる。解像度が高く音の強弱をはっきりと表現するので、細かいニュアンスもしっかりと伝わってくる。バックのアコースティックギターやピアノの再現も満足できた。

ATH-CKR100を装着したところ

ザ・ローリング・ストーンズなどのロックも上々。「Rocks Off」(FLAC 192kHz/24bit)という曲を聴いたが、低域から高域までバランスよく音が出るので、リズム隊、ギター、管楽器が混然一体となって生み出す独特のグルーヴ感が迫力をもって描き出された。

大編成オーケストラの交響曲もよい。カラヤンが1960年初頭にベルリンフィルと録音した「ベートーベン交響曲 第3番 英雄」(FLAC 96kHz/24bit)は、各楽器を繊細に表現する。大雑把に言うと、交響曲再生のキモは音場の広さと奥行きの表現にあると思うが、その点もイヤホンとして高いレベルにあると言ってよいと思う。このほかにも幅広いジャンルを試してみたが、あえて不得手と言うほどのものはなかった。汎用性の高いイヤホンが欲しい人にはねらい目の一台だ。