スマートフォンが真の「世界電波」に

電波時計も確実に進化している

具体的な方法(技術)として、以前から搭載されてきたのが電波時計である。しかし、電波時計はコストこそ抑えられるものの、標準電波のアンテナが設置されている国や地域が限られるため、「世界中どこでも」というわけにはいかず、世界市場での競争力にならなかった。

そこで、第2のブレイクスルーとして登場したのが、G-SHOCKやOCEANUSの高価格ラインに採用されているGPSハイブリッド電波時計だ。たとえサハラ砂漠のど真ん中にいても、正確な時刻情報を人工衛星から取得できるGPSとともに、より使用電力が低く、自動受信が可能な電波時計の両方を搭載。標準電波の受信可能地域では電波時計で、それ以外の国や地域でもGPSで時計精度を確保できる。

操作もボタンをワンプッシュするだけと、きわめて簡単だ。そのぶんコストは高く、搭載モデルは現在、10万円~の高級機のみ。現状では、市場規模の大きな、いわゆるボリュームゾーンで勝負できていない。

1999年、世界初のGPS搭載時計を発売したカシオ。その後15年ぶりに発売したGPSハイブリッド電波ソーラー時計は、大きく形を変えて進化した

左手前は、世界初のGPS搭載時計PRO TREK「PRT-1」。ただし、GPSの利用目的はナビ機能。GPSアンテナの大きさが目を引く

ここで注目されるのが、スマートフォン(のアプリケーション)と連携して、正確な時刻情報を取得する技術、スマートフォンリンクである。カシオはこのスマートフォンリンク機能を搭載したモデルとして、G-SHOCKを2012年から、メタルウオッチのEDIFICE(エディフィス)を2014年からリリース。この秋にはレディスメタルウオッチのSHEEN(シーン)からも、スマートフォンリンクに対応した新製品「SHB-100」が登場予定だ。

今や世界に13億台(※)ともいわれるスマートフォンを、(そのすべての機種に対応しているわけではないが)電波時計のアンテナ代わりにできるこの技術は、真の「世界電波」といえるかもしれない。電波時計やGPSに対して時刻情報の取得に要する時間が短く、建物の中でも利用できる(電波時計やGPSは窓際か屋外でないと利用できない)。

台湾の調査会社Trend Forceが発表した、2015年における世界のスマートフォンメーカー別出荷台数による。正式資料による総合台数は12億9,270万台

しかも、アプリから直観的に操作できるうえ、将来的なタイムゾーンやサマータイム情報の更新にも対応が可能。モジュールのコストも抑えることができるので、市場のボリュームゾーンで勝負できるという。例えば、EDIFICEのスマートフォンリンク対応最新モデル「EQB-600」のメーカー希望小売価格は5万円(税別)だ。

電波、GPS、スマートフォンリンクの特長比較

カシオのスマートフォンリンクモデルとは

現在、CASIO WATCH+(アプリ)に対応しているスマートフォンリンクモデル

発売されたばかりの最新モデルEDIFICE「EQB-600」

SHEEN「SHB-100」は、CASIO WATCH+にSHEEN専用の画面デザインとインタフェースを搭載