カシオ計算機の創業者である発明家、樫尾俊雄氏(故人)。その発明品の数々を展示する樫尾俊雄発明記念館(東京都世田谷区)の時計展示が、6月10日の時の記念日を機に一新。先だってメディア向けに公開されたので、ここでご紹介しよう。
会場では、カシオ計算機 時計事業部長の増田裕一氏をはじめ、モジュール開発部の西尾豊一氏、スペシャルゲストとして神戸市消防局特別高度救急隊、森本崇隊長のスピーチも行われた。
正確な時刻取得の追求
新展示のテーマは4つ。ひとつはカシオ製の時計1号機であり、世界初のオートカレンダー付き腕時計『カシオトロン』の実機展示。そして、人気の「データバンク」シリーズをはじめ、各種センサー搭載でスマートウオッチの祖ともいえるユニークな製品を数多く生み出した『デジタル独自の多機能化』、電波時計や「GPSハイブリッド電波時計」、「スマートフォンリンク」などによる『正確な時刻取得の追求』、そして時計の常識を変えた「G-SHOCK」の構造や多重成形バンドなどにまつわる『構造・外装・表示の多様化』だ。
これらのうちデジタル独自の多機能化については、別記事『懐かしの多機能デジタルウオッチ大集合 - 樫尾俊雄発明記念館「時の記念日」特別展示を見に行こう』で詳しく紹介しているので、ぜひ参照されたい。
閑話休題。今回の先行公開では、『正確な時刻取得の追求』に重点を置いたプレゼンが行われた。まず、時計事業部長の増田裕一氏が登壇し、1974年から現在にいた時計事業部42年の歩みと、2004年から舵を切った高機能アナログ戦略の着実な進捗について述べた。
増田氏によれば、「事業開始から30年を経ても年700億~800億止まりだった売り上げが(G-SHOCKブームを除く)、高機能アナログ戦略への転換により、現在では年1,800億(第61期 2016年)規模まで拡大している」という。
この戦略の核を成すコンセプトのひとつが、近年掲げてきた『Global Time Sync』、つまり「世界中どこにいても正しい時刻を取得する技術」の開発と搭載だ。