大塚部長を中心とした研究チームはエアコン室外機の成功体験をきっかけに、ネイチャーテクノロジーを様々な白物家電の開発に応用していった。
洗濯機、扇風機、炊飯器などにも応用
洗濯機ではパルセータの裏面にイルカの尾びれを応用。水流を強化して、洗浄力を約15%高め、すすぎ性能も向上させた。さらに、パルセータの表面にはイルカの表皮しわを応用することでモーターへの負荷を低減し、省エネを実現した。
扇風機ではアサギマダラ蝶の羽のうねりとくびれ形状をファンに応用。風のムラを100分の1以下に抑えて、快適な風を実現できたという。扇風機の羽根への取り組みはさらに進化を遂げており、今年4月に発売したハイポジション・リビングファン「PJ-F3DG」では、なめらかな風を送るアサギマダラ蝶に加えて、効率的に風を捉えるアゲハ蝶の羽を応用。最大風量を約16%向上させた。
PJ-F3DGの羽根は7枚で構成されているが、それを横から見ると、1枚の羽根が3枚に増えたような立体的な形状であることがわかる。つまり、21枚相当の特殊な羽根で、より一層なめらかな風を送ることができるという。また同じく4月に発売したコードレス3Dファン「PJ-F2DBG」では、アホウドリとアマツバメの羽を応用。最大風量を約50%も向上したそうだ。
(動画) 羽根を回転させると3層の羽根が重なっているように立体的に見える |
サイクロン掃除機では、サイクロンカップ内のごみ圧縮ブレードのフィン表面部にザラついたネコの舌を応用した。これにより、ゴミと空気の分離性能と、繊維系ごみの圧縮性能を高めることに成功。吸い込んだゴミは従来の15分の1に圧縮される。
また、ヘルシオ炊飯器では撹拌ブレードに水の抵抗を低減するペンギンの後退翼を応用。魚群がきれいな螺旋を描き、衝突しないという習性を応用することで、お米の飛散や衝突も抑えた。この結果、コメの栄養と旨みを守ることができ、栄養素の残存量は20%も向上したという。