「大きく、変わります。」宣言をどう見るか
もちろん、契約者の流出を減らすだけでは、経営上よろしくない。今いる顧客に、様々なサービスを提供して、採算向上を図るのがKDDIの戦略だ。
同社が取り組むのは「au経済圏の最大化」。これは顧客基盤をもとに、ビデオパスやブックパスなどのデジタルコンテンツ、嗜好性の高い食品や日用品といった物販、保険、ローンといった金融商品の販売など様々な分野に進出し、ネット、リアル店舗の両方から収益をあげようという戦略だ。
そして、今回発表された「au STAR」プログラムはこの戦略に結び付けて考えられそうだ。特に、今後販売拡大を目指す金融商品については、その購入・契約にあたって、対面販売が有効と見られる。今回発表された「au STARパスポート」は、auショップの店舗予約、その用件をネットで選択して、スムーズな顧客対応を実現を目指す取組みであり、ダイレクトな店舗誘導策とまでは言えないが、auショップへの来店促進の一環と位置づけられるだろう。
長期利用者に「WALLETポイント」を付与する「au STARロイヤル」も、戦略上生きてくる施策だ。WALLETポイントはauの利用料金への充当、デジタルコンテンツの支払いのほか、嗜好性の高い商品や日用品を扱う「au WALLET market」でも利用することができ、WALLETポイントを介してau経済圏の活性化につながるだろう。
さて、本来のテーマに戻ると、KDDIの「大きく、変わります。」宣言は、顧客に向き合わざるを得ない状況に追い込まれたためと見ることができる。そのために、au STARプログラムが発表され、その第一弾が今回の施策となる。今後も第二弾、第三弾の取組みが発表されると思われるが、それらをKDDIの戦略と照らし合わせて見ると、各施策の真意が鮮明に見えてくるのではないだろうか。