先月末開催の新製品発表会で『この夏auは「大きく、変わります。」』と宣言したKDDI。その取組みを突き詰めれば、顧客満足度の向上という言葉にたどり着く。なぜ今になって顧客満足度を重視するのか。背景を探ることで、同社の事情や今回の宣言の意味合いがいろいろと見えてくる。
宣言で何が変わるのか
KDDIが打ち出した「大きく、変わります。」宣言。全顧客に"auでよかった"と感じてもらえる企業に進化するための宣言だという。発表会に登壇した田中孝司社長は「これからは、お客さん一人ひとりのニーズを理解して体験価値を提供していきたい」と話す。
その取組みとして行うのが、カスタマージャーニーの総点検。「店舗での待ち時間が長いのは嫌だ」「初期設定の方法がわからず不安」「長く使うほどいいことがあったらいい」といった端末購入前から後までのあらゆるプロセスにおいて、顧客の声に耳を傾け、対応していく取組みだ。
もちろん、宣言だけでなく、発表会では、上記の問題をいくつか解消する具体的な取組みを発表している。それが今夏から順次スタートする「au STAR」プログラムだ。
同プログラムは大きく3つに分かれる。まずは、ネットを通じて店舗予約を行い、あらかじめ用件を伝えておくことで、来店時に各人に応じたスムーズな応対を実現する「au STARパスポート」がある。
次に、4年以上の長期利用者に、契約年数や契約内容に応じてWALLET ポイントを付与する「au STAR ロイヤル」。そして、3つ目がプログラム会員にエンタメコンテンツの無料視聴や契約更新時にギフト券の贈呈などを行う「au STAR ギフト」である。
これらは店舗における最適な接客の実現や、長期利用者の優遇につながるプログラムとなり、auユーザーには喜ばしい取組みとなるだろう。
しかし、なぜ今こうした宣言をしたのだろうか。今回の取組みは、一言でいえば顧客満足度の向上である。そもそも、顧客満足度の向上とは、多くの企業が日常的に取り組んでいる取組みに過ぎない。それを対外的に宣言する必要はあったのだろうか。