シワがあってもキレイな人はいる

「奈良の大仏さまのような顔になりたい」と語る梅木信子先生

――先生は、精神的にも外見的にも年相応じゃないおばあちゃんのことを「ネエちゃん婆ちゃん」と呼んでいますね。美容整形も自然に逆らったことだと思いますか?

どうだろう。でも、ツルツルでハタチのような顔をして死んだら、気味が悪いよね(笑)。そう思わない?

――それって欲があるからだと思うんです。「キレイになりたい」「キレイなままでいたい」っていう。

確かにキレイになるのはいいことだよね。私はどっちかっていうとブスだったから、「整形したい」と思ったことは何回もあるよ。でも痛いのが大っ嫌い! 注射も嫌いだもん。痛くない美容整形なんてないと思うよ。みんな、そういうところは我慢がいいのね(笑)。

――キレイになるためだったら(笑)。でも美容整形をやりすぎると、ちょっとしたシワも許せなくなる、という話を聞いたことがあります。

シワがあってもキレイな人はいるよ。シワだらけのおじいちゃんなんて、ほんと素敵じゃない? あっ、でも「鬼ババア」って言葉があるね(笑)。心が顔に出ちゃうんだろうな。だって奈良の大仏さまなんて、見ているだけでほんわかした気持ちになるもの。あんなお顔になりたいよねぇ。

アレルギー持ちの日本人が増えた理由

――現代人はアレルギーの人も多いですよね。

日本人ほど病気が好きな人種はいないわよ。戦争前はアレルギーなんてなかったもん。結局、清潔にしすぎて、食べ物も全部、精製されすぎてるのね。今の食べ物に本物なんてほとんどないんじゃない? 根本的に日本人は弱くなってるよ。

あと、モノがあふれた生活はダメよね。ある程度、厳しい生活のほうが健康だと思う。卵や牛乳も、景気がいいとみんなどんどん食べちゃうでしょ?

――どうしていけばいいんでしょう?

自分で野菜を作るように努力することだね。箱があれば家庭菜園だってできるじゃない? 野のもの山のものっていうのはアレルギーを治すし、ミネラルが豊富だよね。あと、薬に頼りすぎないで自然に治る体を作ることも大切よ。

昔みたいに麦ご飯を食べられればいいんだけど、今の麦はおいしくないもん。何もかも上等に作りすぎておいしくない。昔は麦のいいにおいがプーンとしたけど、今はしないね。ある程度、精製されていないほうが体にいいんじゃないのかな。お塩もお砂糖もそう。今は食品加工技術が発達してるから何でもかんでもおいしくできるけど、本物はないと思うのよ。

今でも聴診には自信がある!

現在も月に2~3回は診察をしている

――お医者さんをやめようと思ったことはありませんか?

1回もやめようと思わなかった。だって、お医者さんほど恵まれた職業ないでしょ? お金をもらってお辞儀をしてもらって、毎日勉強させてもらってるんだもん。こんなにいい職業はないよ。

――今も診察をされているそうですね。

ときどきね。健康診断だから、若くて健康な人を診てるの。教科書のおさらいをしてるみたいよ。キレイな音がしてるなって(笑)。

――ご本には「聴診器での診断には自信がある」と書かれていました。

自信はある! 昔はエコーなんてなかったでしょ? だから聴診をものすごく叩き込まれたの。機械を使わなくても、内膜症でもどんなものでもわかるもの。だから離れ島に行っても診断はつくよ。

――先生が"本物"のお医者さまですね! ありがとうございました。