米Googleの開発者イベント「Google I/O 2016」が今年も5月18~20日にわたって開催される。Facebookに買収されたOculusがRift製品版をリリースしたり、あるいはSamsungとの提携でGear VRを提供したりと仮想現実(VR)関係の話題が花盛りだが、Googleもまたこの分野での取り組みを強化することが伝えられており、動向が注目されている。本稿ではGoogle I/O 2016で発表が期待される新情報を整理していく。
やはり注目は「VR」と「Project Tango」
今年のGoogle I/Oは従来までと2点ほど大きな違いがある。1つは、開発者向けイベントの名称が「Google I/O」に変更されて2008年に初開催されて以来、長らくメイン会場だった米サンフランシスコ市内のMoscone Center Westを離れ、今回のGoogle I/O 2016では米マウンテンビュー市内のGoogle本社である「Googleplex」に隣接するShoreline Amphitheatreが新たな会場となっている。半屋外会場であり、収容人数が多いのが特徴。来場者間でのネットワーキングイベントを重視したほか、一部の噂では自動運転技術のデモストレーションなど、広い会場を必要とするショウケースが披露されるという話もあった。2つめは、Googleが「Alphabet」を頂点とする持ち株組織に移行してから初のGoogle I/O開催という点だ。Google CEOとなったのは以前よりGoogle I/Oの顔だったSundar Pichai氏だが、組織変更後の新しい動きやアナウンスに注目したい。
とはいえ、Google I/Oの内容そのものは従来から大きく変化することはないと考えられている。内容的にも、今後1~2年のGoogleやIT分野全体のトレンドが盛り込まれたものになると思われる。重要なテーマはいくつかあるが、おそらく大きな目玉の1つとなるのは「VR」や「3Dマッピング」に関するものだろう。Google I/OのセッションリストにはVR関連のセッション名がすでに大量に存在するほか、Android PoliceによればGoogle Play Developer Consoleには「Android VR」の名称のアイコンがすでに出現しており、イベントのタイミングで何らかのアナウンスがあることはほぼ確実視されている。またAndroid VRがOculus RiftやViveよりも手軽に楽しめる仕組みであることを示唆する情報も出ており、Gear VR的なものをGalaxy以外の多くのAndroidデバイスユーザーが楽しめるようになるかもしれない。
またVRに近いようでいて、別の形での空間へアプローチする技術として「Project Tango」があるが、これに関する最新成果もGoogle I/Oでは発表されることになるかもしれない。Project Tangoは各種センサーを使ってデバイスの位置や挙動を把握しつつ、3Dカメラを使って「空間をマッピングする」技術だ。通常、単視点での3Dカメラによるオブジェクトや空間情報の把握は死角ができてしまうが、カメラを搭載したデバイスを逆に動かすことで空間全体を把握することが可能になる。これにより3Dの「地図」を作ることが容易になり、屋内や複雑なオブジェクトの存在する地形で使うことで、より細かい精度での3D地図が作製可能だ。クラウドを活用することで地図情報を共有するだけでなく、拡張現実(AR)への応用も容易になるなど、非常に面白い試みだ。すでに1月のCESではLenovoと共同でProject Tango対応デバイスの紹介を行っているが、この機能を搭載したスマートフォンが6月9日にサンフランシスコで開催されるLenovo主催の「Tech World 2016」でお披露目されるとみられるため、Google I/Oではデバイスではなく、もう少し違った視点でのアナウンスとなるだろう。