収差も歪みもごくごく僅か

FE 85mm F1.4 GMをしばらく使っていくと、CP+2016の展示ブースで試した際のインプレッションとは異なる気がしてくる。CP+2016ではブースの背景も影響してか、ボケ具合は雑ではないのだが、うるさくなりがちといった印象だった。しかし、製品版ではボケの部分の印象が大きく変化しており、CP+2016でタッチ&トライ済みなのであれば、それを忘れてチェックしたほうがいいだろう。

描写はとてもシャープだ。開放から容赦なくシャープであり、フォーカス部からのボケ具合も良好に尽きる。カールツァイスのようにふんわり感は少なめで、シャープさとボケ味で攻める「G Master」の指標をよく表しているともいえる。周辺光量落ちは開放からF3.5まではやや気になるが、F4.5以降は解消される。α7R IIのデフォルト設定では周辺光量補正がオンなのだが、描写に際立った影響はないので、こだわりがない限り、気にする部分ではないかもしれない。

また、FE 90mm F2.8 Macro G OSS (SEL90M28G)をポートレートにも愛用するユーザーが多くいると思うが、同レンズよりもシャープに描写する。店頭で同じ設定で撮影してみると、GレンズとGMレンズの差を体感できるだろう。なお、FE 85mm F1.4 GMの最短焦点距離はAF時85cm、MF時80cmとなっている。

環境光にもよるが、開放付近でたまに暴れることがある。F3.5~F4.5あたりから対話をはじめてみるといいだろう。絞り優先 F1.7 1/25秒 -0.7EV ISO200 AWB スタンダード

軽く絞ったほうがいいようなことを記述したが、気がついたらF1.7を好んで撮っていた。絞り優先 F1.7 1/80秒 +1.7EV ISO2500 2500K スタンダード

フォーカスポイントを変更してのボケ味テスト。絞り優先 F1.4 1/1600秒 -0.3EV ISO800 スタンダード

よくあるレンジでのボケ味テスト。こちらはF1.4。絞り優先 F1.4 1/8000秒 -0.3EV ISO160 AWB スタンダード

こちらはF7.1。だいぶ背景がハッキリした。また人物描写はかなり力強い感じになり、筋肉質の男性やイケメンを撮っても楽しそう。絞り優先 F7.1 1/250秒 -0.3EV ISO160 AWB スタンダード

左上から右に向かって、F1.7、F2.5、F4、F8、F13、F16と絞りを変更してみたデータ。F16まで絞ってみても描写は甘くならない。使い勝手でいくとF2~F4になるだろうか。F1.4、F5.6、F11がないのは撮り忘れである。ごめんなさい

ロケ地は、横浜にあり、重要文化財として指定されることになった「日本郵船氷川丸」。ロケ当日はココフリのイベントにお邪魔する形での撮影だった。ココフリはコスプレ向けの撮影会を定期的に、横浜を中心にユニークな場所で開催している。純粋なポートレートの撮影でも、オブジェクトのみの撮影でもOK。興味のある人はオフィシャルWebサイトをチェックしてほしい。

横浜にまで足を運んだときは見ておきたい氷川丸。順路に沿って移動しながら、船内の機関室や客室などを楽しめる (この写真はFE 85mm F1.4 GMの作例ではありません)