Apple Musicがこうしたサードパーティーのスピーカーに対応すると、モバイル化した音楽がより、住環境を充実させるものとして再定義される感覚を覚える。手元のスマホはリモコンであり、住環境を整えるために音楽をコントロールすることができるようになるのだ。
前述のように、パソコンやスマホで何をしていても、選んだ音楽がきちんと邪魔されずに再生されていく点も、非常に快適だ。またSONOSのスピーカーは、最も小さなPLAY 1であっても、非常にパワフルで低音から高音まではっきりと再生してくれる点も、満足度は高い。
Appleに買収されたBeats Electronicsとしても、Bluetooth製品だけでなく、Wi-Fiをサポートし、iPhoneがなくても独立して音楽が再生できるスピーカーをリリースすべきだと強く思う。
しかしApple Musicが開始される直前の2015年6月頃、BeatsのWi-Fiスピーカーのプロジェクトは中止された、という情報が流れた。750ドルという高額な価格に問題があったのか、製品のコンセプト自体に問題があったのかはわからない。また、BeatsではなくAppleブランドでこれを出したいと考えている可能性も否めない。
いずれにしても、Wi-Fi内蔵でストリーム音楽を直接再生できるスピーカーは、音楽のモバイル化以降の「部屋」には必須のアイテムといえる。サイズや音質、防水などの機能性などを含め、モバイルスピーカーがBluetoothからWi-Fiへ流れるトレンドが発生するのではないか。そう思いたくなるほどに、SONOSは快適な音楽ライフをもたらしてくれた。
松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura