NITRO版TRI-Xクーラーは動作音も冷却性能も優秀。OC仕様だけに消費電力には注意
NITROの3連ファン「TRI-X」は、低負荷時はファンの回転を止める「Intelligent Fan Control」機能を搭載している。例えば、ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマークなどでは、3Dシーン中でもファンが停止することがあった。室温20℃の下、バラック状態で計測するという好条件もあるが、GPU負荷の低いタイトルなら動作音に関してかなりの満足度が得られた。
その動作音を計測したみたところ、ファンが回転を停止するアイドル時は30.6dBAでこれは暗騒音レベル。3DMarkのFire Strike GT1/2で計測した高負荷時は最大38.8dBAとなった。高負荷時の数値は若干高いが、パフォーマンス比で言えば十分だろう。
なお、V-SYNCをオフとした状態での高負荷時などでは軽いコイル鳴きが生じるが、そこまで大きくはないので、いわゆる窒息系の静音ケースで運用すれば閉じ込めることは可能だろう。昨今の窒息系ケースでは、エアフローもしっかりと重視しているものも多く、コイル鳴きを閉じ込めつつ、エアフローによってIntelligent Fan Controlを十分に効かせることができそうだ。また、V-SYNCを有効とすることで過剰な負荷を抑制すれば、コイル鳴きはほとんど解消された。
先のベンチマークのとおり、GPUパフォーマンス自体は十分にあるので、オーバースペックとなる場合はV-SYNCをオンに、あるいは「AMD Gaming Evolved」により各タイトルごとに最適な画質設定を適用するといった活用がベストだろう。もっとも、コイル鳴きの原因はそれほど単純なものではないので、完全に抑制できるかどうかは難しいところだ。
続いてGPU温度を見てみよう。先の動作音検証と合わせて、ケースファンなしでの計測だ。こちらも3DMarkのFire Strike GT1/2で計測したものだが、定格では最大59度、リファレンスクロックでは最大54度となり、5度の差が出じた。やはりクロックが低いほうがGPU温度も抑えられるわけだが、OC仕様の製品でも60度を下回る点はさすがだといえる。
ただ、59度とはいえヒートシンクに触れれば熱いと感じる温度。実際の運用では、しっかりとケースのフロントファンを使用し、十分なケース内エアフローを確保するのがよいだろう。それが静音化やブースト効率のアップに繋がるはずだ。
消費電力では製品定格とリファレンスクロックにかなり大きな差が生じた。アイドル時は45.5W対45Wと誤差の範囲だが、高負荷時は370.5W対290.8Wと、80W近い差が出ている。これは双方3回繰り返して計測してみても傾向は変わらなかった。VCC電圧のログを見ると、確かに製品定格時は1.2313V、リファレンスクロック時は1.1438Vと、0.1Vほどの差があるようだ。
今回はミニマムな構成で検証しているが、そこで370.5Wという数値が出たことは、HDDや光学ドライブなどを加えた場合、750W~クラスの電源が必要ということになる。リファレンスクロックの290.8Wであれば650Wクラスでもまかなえるレベルなので、本製品を選ぶ場合は、GPUで想定されるよりもひとつ上の出力を備えた電源と組み合わせるのが安心だ。