マーケットをどう展開できるのか
まずは、2017年に就航を予定している中国路線を考えてみる。中国本土への乗り入れはピーチが現在慎重に準備を重ねているが、現在、北京/上海空港の発着枠は飽和状態である。希望する時間帯のスロットがとれるかなど、中国航空当局との交渉はいまだ不透明であり、手を挙げれば実現するような代物ではない。現地の整備支援を含むグランドハンドリング体制が整うかも大きな課題だ。就航2年目のエアアジア・ジャパンが、これらを短期間にクリアして中国本土乗り入れできるとは考えにくい。
また、市場の開拓も課題である。井出会長は、北京/上海のスロットが厳しいなら、と近隣都市を模索して天津/無錫という、いわゆる"第二空港"を上げている。しかし、これらは日本人が安定的に渡航する都市ではなく、中国側旅行代理会社をフル稼働させてインバウンドチャーターで一定期間事業ができるかどうかというレベルのマーケットだ。日本企業による営業活動は苦戦するだろう。
その点で言って、2017年に予定しているグアム線もマーケット的に課題がある。JTBなどの旅行代理店に期待するところも大きいだろうが、先行するデルタ、ユナイテッドを凌駕できるかは霧の中だ。旅行代理店にとっても、これら2強も大切な取引先だからだ。
成田拠点化のシナリオ
計画では2018年に成田進出を目指すとしている。成田はすでに日本のLCC4社(ピーチ、バニラ、ジェットスター・ジャパン、春秋航空日本)がしのぎを削っている激戦地。また、アジアのLCCも発着枠に余裕が出てきていることもあり、例えばシンガポールのLCCであるスクートが台北経由で乗り入れているほか、2016年3月には韓国のLCCであるティーウェイが就航するなど、続々と成田に参入している。
2018年にはLCC専用の第3ターミナルを使う国内LCC3社は路線を拡大し、第3ターミナルの容量も限界に達しているだろう。そこでエアアジア・ジャパンが使える可能性は低く、第3ターミナルよりも運営コストが高い第1,2ターミナルでの運用となろう。
その中で、スカイマークが破綻した最大の要因と言われるA330の導入である。