2つに分離して変形合体する「スライドアークキーボード」

ポータブック最大のウリが、8型クラスの本体に12型相当のキーボードを搭載したことだ。このキーボードは、2つに分離して変形合体する構造で、「スライドアークキーボード」と名付けられている。

思い起こせば、1995年3月、日本IBMから発売されたノートPC「ThinkPad 701C」でも、通称「バタフライキーボード」と呼ばれる分離合体式のキーボードが採用されていた。バタフライキーボードは、収納時にキーボードが斜めにずれて重なり、利用時には広がって合体するというものだった。

ポータブックのスライドアークキーボードはもっと大胆に、収納時には半分にしたキーボードを90度回転、利用時は反対に90度回転して合体させるという構造だ。ThinkPad 701Cのバタフライキーボードとは異なり、ディスプレイのヒンジ開閉とキーボードの変形動作は連動しないが、ディスプレイを開いてから、左右に分かれたキーボードを外側にハの字に開いていくだけでよい。90度回転させると、分かれたキーボードがぴったり合わさる仕組みだ。キーボードを広げると、筐体の左右からそれぞれ約3cmはみ出す形になる。閉じるときには反対に、キーボードの左右奥側に指をかけて、手前に引きながら回転させていけばよい。

ディスプレイを開いたところ。まだキーボードは収納時のままだ

キーボードの下側を持ち、ハの字型に開いていく

さらに開いていくと、回転の中心が下に移動していく

左右に90度ずつ開くと、キーボードが自動的に合体する

キーボードは全85キーで、かな表記なしの日本語配列。キーピッチは横18mm、縦15.5mmで、確かに一般的な12型モバイルノートPCのキーボードと同程度だ。ただし「-」キーや「/」キーなど、右端に近いキーの横キーピッチは多少狭い。キー配列もほぼ標準的だが、「半角/全角」キーが2列目ではなく「ESC」キーの右側に配置されていることが気になった。

日本語85キーのキーボード

キーストロークは1.5mmであり、一般的なモバイルノートPCとほぼ同等だ。縦のキーピッチが横に比べて狭いため、使い始めは少し窮屈な印象を受けたが、しばらく使っているうちに違和感はなくなった。変形合体式ということで、剛性が気になるところだが、キーボード周囲に堅牢性の高いアルミフレームを採用しており、強めにタイピングしてもキーボードがたわむようなことはなく、快適に入力できた。

キートップは中央が凹んでおり、打ち心地もよい

光学式フィンガーマウスは、乗せた指を滑らせて操作する(青いシートは出荷時の保護用だが、剥がさなくても利用できる)。キーボード手前に3つのクリックボタンが用意されている

ポインティングデバイスとしては、光学式フィンガーマウスを搭載している。光学式マウスを裏返しにしたようなデバイスであり、「G」キーと「H」キー、「B」キーの間に配置されている。丸いデバイスの上に指を乗せて、操作したい方向に指を滑らせることで操作を行う。

ThinkPadシリーズのTrackPointとは違って、力を加える必要はない。クリック操作は、キーボード下に配置されている3つのボタンだ。筆者はこれまでにも、こうした光学式フィンガーマウスを使った経験があるのですぐに慣れたが、この種のデバイスに初めて触れる人は、慣れるまで多少時間がかかるかもしれない。