Appleは、依然として米国を始めとした先進国では40~60%のシェアを獲得しており、世界のモバイル市場から生まれる利益の大半を占めている。四半期ベースでiPhoneの台数が伸びなくなったり、減少に転じたからといって、すぐにAppleの価値を毀損する状況にはない。
それでも攻めに出ている背景には、やはりiPhoneをトップブランドとして盤石に維持するために、先手を打っていこうという姿勢の表れだ。Apple体験への入り口を身近にすることで、iPhoneユーザーからiPad、Mac、その他サービスによる収益の拡大を狙う、これまでの戦略の立て直しを図ろうとしているように映る。
Appleブランドへの入り口としてのiPhoneの戦略はわかったが、年間を通じて減少し続けているiPadと、2016年第1四半期で久しぶりに減少に転じたMacをどうするかの方が、難しい問題かもしれない。
2015年、iPadには、12.9インチの「iPad Pro」が追加された。IDCの調査によると、米国のホリデーシーズンに、MicrosoftのSurfaceシリーズよりもiPad Proの方がよく売れたようで、ライバル視していたタブレットPCであるSurface Proへの対抗策として効果があったようだ。
しかしそれでも、ホリデーシーズンを含む2016年第1四半期のiPad販売は、前年同期比で25%の減少となってしまった。iPhone以上に、根本的に何かを変えなければ、状況を上向かせることが難しい事を表している。