では、どうしたらよいか。Mozilla Japanでは、コミュニティメンバーに集まってもらい、自由な雰囲気で話し合うキックオフミーティングを開催した(1月24日、Mozilla Japanオフィスにて)。

図9 キックオフミーティングのようす

議題は下記の3点。

  • 何を伝えていけばよいか
  • どんな方法で伝えていけばよいか
  • 自分はここが得意分野だから、こんなことができそう

費用やお金のことは考えなくてもよい。実現可能性もとりあえず無視して、とにかく思い付いたことを積極的に出していくというスタンスである。このあたりが、いかにもMozillaらしい。集まったメンバーは、学生マーケティングチーム、翻訳グループなどから15名ほどであった。年齢も中学生から年配者までと幅広い。

ミーティングは自己紹介から始まり、Mozilla Japanの浅井智也氏から、前提となる説明が行われた。

図10 Mozilla Japanの浅井智也氏

次に、(前ページの)調査結果が配布された。これに対し参加者の感想では、以下のようなものがあった。

●被害(知られたくないことを知られる、いやがらせ)や、うっとうしい広告への抵抗感がうかがえる
●意識は高いが、実際の対策が追い付いていない傾向は、海外などの調査と比較しても同じようにみられる
●セキュリティはかなり気にしているが、プライバシーはやや弱い
●プライベートブラウジングを知っているユーザーよりも、トラッキングを知っているユーザーのほうが多い。変な広告の経験や問題意識はあるのだろう。しかし、ブラウザの機能としては知らないユーザーが多い
●参加者の質問に対し、年代による違いはほとんどなかった
●Q3で「自分の対策に自信がある」を選択する日本人は少ないだろう
●Q6では、トラッキングを知らない人が半分以上になった。しかし、Q8では、ほとんどのがトラッキングされたくないと回答している。つまり、わからないが自分にとっては得なものではないといった意識があるのではないか
●アンケートの順番が変われば、結果も変わるのではないか
●位置情報は、怖いと思う(特に自宅の近くでは)。Foursquareは、女性は注意すべき?

この結果なども踏まえつつ、アイディアソン形式で、3~4名ほどのグループで議論が行われた。議論の進め方も、ルールはない。グループごとに自由に進行する。30分ほどの討議を終え、発表に至った。

図11 グループに分かれてスタート

図12 このグループでは付箋を使って意見を集約

図13 グループごとに発表

このキックオフミーティングについては、Mozilla Japanのブログにその内容なども含め紹介されているので、ぜひ、ご覧いただきたい。ごく簡単に発表内容を紹介すると、そもそもトラッキングって何? どういう仕組み? 誰が(Googleなら安心できる?)といった意見が多かった。また、親子も含め、高校生や中学生といった若い世代への取り組みをすべきといった意見も多かった。

もちろんこの日だけで、結論はでない。今後は、Google Groupsに議論の場を移し、企画を煮詰めていく予定である(随時、ミーティングも開催されるだろう)。

図14 Mozillaデータプライバシーコミュニティ(https://groups.google.com/d/forum/data-privacy-jp)

今回の参加者は、調査結果のリリース前ということもあり、コミュニティのメンバーが中心であった。今後は、誰でも自由に参加可能である。

図15 Mozilla Japanのコミュニティサイト(http://www.mozilla.jp/community/)

Mozillaのコミュニティにも開発、翻訳などいろいろあるが、参加をためらっている人も少なくない。今回のプライバシーは、興味と意欲さえあれば参加可能だ。逆に、一般ユーザー目線を失わないことのほうが重要かもしれない。本稿にも書いたが、自分の得意分野、たとえば「絵が書けるから、マンガや動画の作成に関わりたい」という動機も大歓迎とのことだ。興味あれば、参加もぜひ検討してみよう。きっと、得られるものがあるはずだ。