一方、大編成のオーケストラ曲などは少し苦手なよう。音が真ん中に集まってやや窮屈さを感じてしまう。コンサートホールで聴いているような感じで交響曲を楽しみたい人には向いていないかもしれない。ただし、楽器の音が際立って聴こえるのでソロパートなどを集中して聴くには良い。
試聴して一番驚いたのが、重低音の再生が肝となるハードロック系と相性がよかったことだ。レッド・ツェッペリン「Black Dog(FLAC 96kHz/24bit)」は、ギターの重低音リフとドラム、ベースがズッシリとした迫力ある音で表現。音の立ち上がりもよいのでハードロックならではの疾走感を存分に体感できる。 もう一つ意外なところでは、グルーヴ感が命のファンクミュージックもよかった。ザ・ミーターズ「People Say(FLAC 44.1kHz/16bit)」を聴くと、まずイントロのファンキーなカッティングギターがキレッキレに鳴り響く。そこに重くキレのあるドラムや独特のノリを生み出すベースが加わり、グルーヴ感をしっかりと再現する。
このほか、女性ボーカル曲、ロック、ジャズなどを聴いてみたが、幅広いジャンルに合うという印象だ。ただし、(このヘッドホンの良いところでもあるのだが)ウォーミーな音作りがされているため、曲によっては低域が若干ゆるく感じる。低域がボワついた感じの音源はその点が強調されてしまうので、留意しておく必要があるだろう。