NECPCで、ディスプレイやタッチパッド、キーボードなどのコンポーネント周りを担当する、第一商品開発部 設計技術部の杉本繁伸氏は、LAVIE Hybrid ZERO 11.6型モデルでフラットカバーキーボードを担当した。
企画から要求された仕様は「(キーストロークのない)タッチキーボードなら3mm以下で200g以下」と言うものだった。
そこで一般のキーボードで使われているフィルム状のメンブレンスイッチで試作したところ、スタンド部が重くなってしまった。厚みを薄くすると軽くなるが、メンブレンスイッチの破損につながる上、何よりもタッチキーボードは感触が悪く、実用性の面で大きく問題があると判断したという。
企画からの要求仕様。ともかく「200g」が一大命題で、キーストロークがなければ厚みは3mm。カバー時は全面を保護するもの |
まずはプラ素材で試作を作ったがスタンド部に問題があり重量に問題あり。そしてゼロストロークのタッチキーボードは実用性に難点があると判断 |
そこでメンブレンスイッチに代わり、メタルドームと固い基板を使うことで入力感をよくし、スタンドは金属板を組み合わせたものを、スライド式で格納するタイプを考案。それでも入力に問題があったので、サポートシートやスリットを入れる事で、薄いながらも打鍵感を持たせ、最終的に重量187g、厚み3.5mmでありながら、スタンド機構とカバー機能を備えたキーボードに仕上げることができた。
と書くと、短時間で解決したように思えるが、「200g以下」という要件に沿った製品開発にめどがつくまではそれなりに時間がかかり、杉本氏の脇を重役が通るたびに「まだか……」と(時にはアイコンタクトで)せっつかれたそうで、かなりのプレッシャーの中での作業だったようだ。
検証のために厚紙を切って夜なべ作業で紙製モックアップを作成(左)、さらに各パーツの重量を荒く計算したところ200gを達成できそうと判断(右) |
杉本氏が夜なべして作成した紙製のモックアップ実物。キーボード部はコピーを張り付けて位置を確認している |
さらに細かなメカニズム構成を考案し、可動モックアップを試作した。重量は問題なくクリアしたが、キーボードがフラットすぎて入力に難アリとなった |
ポリウレタンの表面に凹凸をつけて、キー位置を感触で判断できるように改善 |