もしも1人の人に、複数のApple Watchを購入してもらうことができるならば、Appleとして、あるいはテクノロジー企業としては、ユニークな現象と言えるかもしれない。全く同じ機能を果たす、しかも同時に複数使う必要がないデバイスを、いくつも持ってもらうことになるからだ。

ただ、腕時計を複数持っている人はさほど珍しくないため、AppleはApple Watchを、より普通の時計らしくラインアップしていこうと考えていることが分かる。

Apple Watchの販売台数については「憶測を呼ぶ」とのことから公開されていないが、2015年のホリデーシーズン前までで700万台とも言われており、2015年中に1,000万台に乗ったのではないか、と考えられる。1月27日に予定されている決算発表で、なんらかの言及がなされるかどうか注目している。

時計をしていなかった人にとっては、Apple Watchが習慣化したかどうかが重要だが、普段から時計をしている人にとっては、Apple Watchが何本かある腕時計の中で、どれだけの頻度で使われるかが重要になる。

Appleが押すエクササイズ機能は、FitBitやMisfitの製品の方が、既存の腕時計と共存できるため、分がある。となると、時計としての魅力を磨く必要がある。Apple Watchの複数所有を可能にするソフトウェアのアップデートは、より時計の魅力を高める布石となることを、期待したいところだ。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura