本当になくなるの?
携帯料金の引き下げは首相直々の発言だけに、方向性としては今より安価なプランは増えるだろう。だが、キャリア各社としても収入減はなんとか避けたいでところであるため、2年縛り解除が有名無実化する可能性は高い。いくら総務省が旗を振ろうと、少なくとも、いきなり全廃という選択肢はないはずだ。
総務省からの2年縛りの見直しが要求された直後の今春には、3社とも2年契約を違約金なしに解約できる更新期間を、現状の1カ月から2カ月に延長。さらにメールなどで更新月を告知するなどの改善案がつぎつぎと報道された。また、2年ではなく1年縛りのプランを用意したり、auの田中社長が決算発表の席上で、最初の2年だけを割引き、あとは好きな時期に解約やMNPできるプランの提案を行うなど、プランそのものの見直しも示唆され、ユーザーに有利な環境作りが進むかのようには見えた。
ところが、このニュースが報道されたときには、3社とも今年の10~12月の間に更新月を延長するという話だったのだが、12月10日現在の段階でも3社とも、1カ月のままなので、うやむやになっている可能性が高い。1年縛り、あるいは2年目以降を自由契約にする新プランというのも、いまだに登場していない状況だ。
細かいことを言うと、かつてソフトバンクは2010年に、「ホワイトプランN」という、初回契約時のみ更新月が25カ月目、26カ月目の2カ月あるプランを導入したことがあるのだが、2012年には受付を終了し、ふたたび更新月が25カ月目のみの新プラン「ホワイトプランR」(現行のホワイトプラン)に置き換わっている。このときは更新月の表示が乱れて混乱が大きかったことなども原因の一つと考えられるが、キャリアにとって更新月の延長が、あまり望ましくなかったこともあるだろう。
さらに、ドコモとソフトバンクはMNP転入者が端末を割引購入できる代わりに、一定期間内に料金コースを変更した場合、解除料として割引額の返還を求められる「端末購入サポート」(ドコモ)、「のりかえサポート」(ソフトバンク)が、半年から12カ月と伸びており、実質的には以前よりも環境が厳しくなっていると言える。
総務省の旗振りに対し、キャリア側が必死の抵抗を見せ、結局はなし崩し的に骨抜きにされるという展開は、過去にも何度となく繰り返されてきたものだ。2年縛りについてはユーザーにもそれなりのメリットがあるだけに、総務省が計画しているとおりにはなかなか進まないだろう。ただし、MVNOの普及や安価なSIMフリー端末の普及など、ユーザー側の選択肢が増えていることもあり、キャリアの抵抗が必ずしもキャリアの狙い通りにいくとは限らない時代にもなっている。
キャリア自身の利益が確保されるのも重要だが、ユーザーにとって不便な環境を作るのでは本末転倒だし、何よりサービス業として、あってはならないことだろう。段階的にで構わないので、ユーザーの利便性を重視したうえでの決着を望みたい。