日本語版Cortana初披露を本社担当者が解説

次に、マイクロソフトディベロップメント(MSD)代表取締役社長 安達理氏が登壇すると、自社が各製品の多言語化ではなく、WindowsやOffice、Bingなどの製品開発に取り組んでいることを説明。先ごろリリースした「Office Lens」もMSDが開発したことをアピールした。

マイクロソフトディベロップメントの安達理氏

安達氏は「WaaSの"Service"は、Outlook.comやOneDriveと同じSaaS(Software as a Service)と同じ意味を持つ。従来のWindowsは数年の間、開発したコードをサーバーに蓄積し、ビルドやパッケージングといったプロセスを必要としていたが、(昨今は標準化しつつある)アジャイル開発にそぐわない。Windowsという巨大なソフトウェアのアジャイル開発を行うのが我々の目標である」と、Microsoft全体の開発スタンスが変化したという。

さらに、新規開発した機能を全体の0.01%(のユーザー)に提供して、その結果をフィードバックや使用頻度などを踏まえて判断し、うまく行けば0.1%、1%、10%……と段階的な展開を行う仕組みで開発や機能提供を行っていくと説明した。現時点のWindows 10 Insider Previewに同様の仕組みは備わっていないように見受けられるが、2016年リリース予定の「RedStone(開発コード名)」完成までには、段階的な展開が加わるのだろう。

Windows 10 November Updateでは、一般ユーザーが初めてCortanaを使えるようになったため、ここでMicrosoftのMarcus Ash氏が登壇した。Ash氏は「ユーザーが複数のデバイスを所有し、異なるUIで操作が煩雑なる将来を予測していた。2012年から始めたCortanaへの取り組みは、最適なUX(ユーザーエクスペリエンス)を提供することを念頭に開発した」と、パーソナルアシスタントの成り立ちを説明した。

MicrosoftのMarcus Ash氏

続けて「Cortanaはユーザー個人を理解し、好みや行動を学んでいく。長く使えばスマートになり、ユーザーの先を見越した助言や手助けを行う。我々は"コンピューティングの正しい姿"として、このような行動をCortanaで実現しようとしている」と語る。Ash氏はWindows 10やWindows 10 Mobileなど、"One Windows"プラットフォームすべてで動作するCortanaの未来を語り、現時点で10億以上の質問がCortanaに対して寄せられていることを明らかにした。

米国と日本で提供するCortanaの違いについては、「Cortanaはグローバルな製品だが、各国で異なる文化にフィットしたスタイルを身につけなければならない。日本であれば『丁寧さ』を表現するため、アイコンが挨拶するが、これは日本独自のスタイルだ」と、国ごとにCortanaが異なるスタイルを持つことを説明。スライドでTwitterのフィードバックを紹介し、「日本でも期待を集めていることを感じる。より多くのフィードバックを得て、Cortanaを成長させていく」と締めくくった。

10億以上の質問を耳にするCortana。英語圏では既に高い評価を得つつあるという

日本マイクロソフトがまとめた日本語版Cortanaのフィードバック(Twitterより)

なお、Cortanaに関しては、Ash氏およびMSDの開発メンバーに詳しい話を伺ったので、後日その内容をご報告する。