ホビイスト目線では「パワー」と「オールインワン」、「Android」に注目
DragonBoardが注目を集める理由には、Snapdragon 410という現在のワンボードコンピュータの水準ではハイスペックなSoCが搭載されていること、Wi-FiやGPSといったデバイスがオールインワンで用意されていること、そしてQualcommというスマートフォンで豊富な実績を持つベンダーがコミットした製品であること、という3つが挙げられる。
今回の取材では、そこに「Android」という要素があることが大きいと気付かされた。Snapdragonが搭載され、Android OSが動作するDragonBoardであれば、スマートフォン向け開発リソースの多くをそのまま活用でき、Androidアプリをテレビに映すなどの処理もたやすい。スマートフォンと同じことがこのボード1枚で実現できる、というわけだ。
AllJoynのプロトタイプ開発環境としても強力。NTTデータMSEのブースでは、DragonBoardでWindows 10 IoT Coreを動作させ、センサーで取得した気温データをAllJoyn経由でWindows Azureに送信、タブレットに表示するというデモを実施していたが、シングルボードならではのデプロイの容易さを見てとれた。端末1台あたり1万円台前半というコスト感も、導入の現場では重要なポイントとなりそうだ。
ホビイスト目線では、今後Snapdragon 600/800シリーズ搭載のボードが登場するということに注目したい。オーディオ用途にRaspberry Pi 2を活用している身としては、CD音源をハイレゾ品質にアップサンプリングする処理にはSnapdragon 600クラス以上のSoCが欲しいところ。その上の800クラスとなれば、オーディオのみならず4K動画の再生が視野に入ってくるやも知れず、期待は高まる。消費電力や発熱など気になる点については、実機の発売を待ち検証を重ねるしかないだろう。楽しみに待ちたい。