そのような背景で登場したDragonBoardが、いよいよ国内市場に参入する。米アローエレクトロニクス社とそのグループ企業が独占販売権を取得、日本ではアロー・ユーイーシー・ジャパンとチップワンストップが日本における販売/サポート窓口となり、電子部品・半導体の通販サイト「チップワンストップ」から購入できる。ロットは1枚から、一般個人でも入手可能だ。
個人利用が可能となると、Raspberry PiやArduinoといった製品の代替となりうるのか、拡張ボードやアクセサリは今後増えるのか、OSやドライバのサポートはどうなるのか、という部分が気になるところ。そこで今回、IoT Technology 2015の会場でアロー・ユーイーシー・ジャパンのプロダクトマーケティング部長 関口氏に話を訊く機会を得たため、DragonBoardの現状と今後について整理してみたい。
まずはDragonBoardの仕様だが、32bit/64bit ARMオープンプラットフォーム「96Boards」に準拠した製品であり、DragonBoard独自ではない。その仕様は「96Boardsを主催するLinaro社のリーダーシップのもと制定されている」(関口氏)とのことで、ボードサイズやコネクタの位置といったアクセサリ設計の基礎となる部分の今後は、Linaro社に左右されることになりそうだ。
ターゲットについては、「開発ボードという位置付けで基本はBtoB」(関口氏)ということもあり、学習やホビーでの利用も多いRaspberry Piとはキャラクターが異なる。価格も1枚あたり1万1千円とRaspberry Pi 2の約2倍に設定されているが、「Wi-FiとBluetooth、GPSがオンボードされており、CPU/GPUの性能も高い。それらを考慮すれば必ずしも割高とはいえないはず」(関口氏)という。
OSはMicrosoftが「Windows 10 IoT Core」を提供するほか、96BoardsでLinux(Ubuntu)とAndroidをサポートするという(リンク)。ドライバの整備も96Boards/Linaroが進めているとのことで、当面の情報源はそちらに頼ることになるだろう。
今後の計画だが、「より強力なプロセッサに載せ替えたボードを計画している」(関口氏)とのことで、2016年第1四半期にはSnapdragon 600シリーズのボードが発表される見通し。具体的な時期は決められていないが、Snapdragon 800ベースのボードも計画があるとのことで、パフォーマンス向上については期待してよさそうだ。
ケースやアクセサリについては、「Raspberry PiやArduinoで実績豊富な企業との提携を進めている」(関口氏)とのこと。バリエーションでは、先行するRaspberry PiやArduinoに追いつくことは難しそうだが、ホビー狙いのユーザーにとっては安心材料となるはずだ。