GACKTに対して、"クールで無口"というイメージを持っている人もいるかもしれないが、実際のGACKTはかなりユーモアのセンスがあり、トークがうまい。「神威♂学園」は、まさにそんな彼の本領が発揮されるプロジェクトなのだ。この日はB'zの楽曲をメドレーで少しずつ歌い、語尾を毎回「ULTRA SOUL」で"オトす"というパフォーマンスを披露していた。文字で書くとよくわからないかもしれないが、実はこれ、「ニコニコ動画」でかつて人気を得ていたネタの一つである。
また、ユーザー出演者の一人であり、現在はボーカルユニット「ROOT FIVE」の一員としてメジャーデビューも果たしているぽこたがGACKTと共演を果たしたことも「ニコニコ」ユーザーとしては見逃せない。
ぽこたは、もともと「歌ってみた」に動画を投稿しており、その時から「GACKTに声が似ている」と言われていた。そんな二人が共演するまでになったというのは、なかなか壮大な"ニコニコドリーム"と言えるだろう。
ちなみに、ぽこたは顔に関しては川越シェフに似ていると言われており、以前の「ニコニコ超パーティー」では川越シェフと共演。ステージでパスタを作る川越シェフの前で歌うという、「超パーティー」史上に残るシュールなパフォーマンスを披露している。
「神威♂学園」で一気に盛り上がった後は、いよいよ400名にも上るユーザー出演者によるステージが始まった。歌やダンス、演奏、DJプレイなどがメインだが、中にはコスプレショーなどちょっと毛色の変わったステージもあり、まさに文化祭だ。
いわゆる文化祭と違うのは、しっかりお金をかけてプロが関わっているため、演出などのクオリティーが非常に高いこと。それでも2012年に行われた初回の「超パーティー」ではまだ手探り感があったが、さすがに4回目ともなると運営もかなりこなれてきていると感じた。
また、第一部の最後にはARと360度全天球カメラを用いた初のVR技術がお披露目。専用のヘッドセットをつけると、会場のステージに立っているかのような視点で、360度を見渡すことができ、さらにARで表示されたキャラクターが目の前に出現するという仕組みだ。デジタルコンテンツがすぐにコピーされてしまう時代において、こうしたリッチな体験コンテンツは、今後間違いなく発展する分野だろう。
第二部のオープニングには、小林幸子が登場。自ら「ニコニコ動画」に歌を投稿するなど、ボーカロイドのカバーを積極的に行っているだけあって、ニコニコのノリはすでにつかみきっている。考えてみれば大御所演歌歌手が「ニコニコ」を理解するというのもすごいことなのだけど、そんなことを感じさせないほどなじんでいるのはさすがである。
そんな小林幸子、今回は巨大なかたつむりの「つむこ」に乗って、期待通り「脳漿炸裂バーサン」を歌いきった。歌だけでなく衣装に関しても、毎回期待に応えるのだから恐れ入る。
"降臨してみた"最後の一人、松岡充は第三部に出演した。過去の「超パーティー」には何度も出演している松岡にファンが期待するのは、シモネタだらけのボカロ曲「くるみ ぽんちお」である。もはや彼の十八番ともなった同楽曲だが、今回は「歌に形はないけれど」「リンカーネイション」の2曲を披露し、「くるみ ぽんちお」は回避された。会場からは歌わなかったことでざわめきが起きていたけれど(それもすごい話だ)、個人的には安売りするよりもこれくらいもったいぶった方がいいんじゃないかと思う。そのほうがライブごとにワクワクできる。