感動のホワイトソース

他の電気鍋と比較した際の長所は、「まぜ技ユニット」にあるだろう。実はこれが一番の功労者だと実感している。「まぜ技ユニット」というのは、内ブタに取り付ける部品のことで、2本の棒で鍋内を自動でかき混ぜてくれるものだ。

シャープが2012年に発売したIH炊飯器に「かいてんユニット」という名前で搭載しているものと、役割としてはほぼ同じ。もともとは米を研ぐために付けられたものだが、ホットクックでこそ、その機能が活きると感じた。まぜ技ユニットがあることによって、バラエティーに富むメニューの調理が可能になっている。

【左】かき混ぜが必要なメニューでは、まぜ技ユニットをセット。【右】セット時は脚がたたまれた状態。自動で飛び出て、調理終了後はまた折りたたまれる。他の無水調理器具では、フタを閉めたままではかき混ぜられないので、ホットクックの強みといえる

今回、ホットクックで30品以上を調理してみたが、自動かき混ぜ機能による恩恵を特に受けられたのが「ホワイトソース」だ。牛乳とバター、小麦粉で作るホワイトソースは、火加減がポイント。一定の温度を保ちながらゆっくりとかき混ぜていく作業は、温度が変化しやすい直火よりも、センサーで温度を検知して温度管理・制御できるIHのほうが適している。この温度管理・制御に加えてかき混ぜまで行うのがホットクックの強み。一般的な電気鍋だとかき混ぜまでは不可能でも、ホットクックであれば材料を入れてボタン1つでホワイトソースを作れる。一定の間隔でゆっくりゆっくり混ぜてくれるおかげで、ダマが一切ない、なめらかなホワイトソースが勝手にできあがって感動した。

牛乳、バター、小麦粉を入れただけなのに、こんなにもなめらかなホワイトソースが10分ほどで完成! 自分の手で作るときは、火加減を調整しながらゆっくりと一定間隔で混ぜないと、すぐに焦げたり、ダマになったりする。短時間とはいえ、手際よく調理しなくてはならないが、ホットクックなら手軽に上手に作れてうれしい

とろみのある料理もお任せ

自動かき混ぜ機能と無水調理の合わせ技で可能になっているのが、とろみのある料理。付属のレシピブックに「八宝菜」や「鶏肉のカシューナッツ炒め」といったメニューが載っていて、「本当にできるの!?」と半信半疑ながらとりあえず作ってみた。

とろみの付いたメニューとして、鶏肉のカシューナッツ炒めを作ってみた

手順は、材料入れてあとはお任せ、と基本的には今までと同じだ。ところが、とろみのあるメニューだと、鍋に食材をセットする前に、ビニール袋などに食材を入れて、片栗粉をまんべんなくまぶすというひと手間が必要になる。

材料をすべてセットして待つこと約20分。フタを開けてみると、まぎれもない、鶏肉のカシューナッツ炒めができあがっていた! 実際に作ってみて、加熱中に食材から発生する水分がまぶしてある片栗粉を溶かし、まぜ技ユニットが全体をかき混ぜて、まんべんなくとろみがつくのだろうとわかった。

ホワイトソース同様、片栗粉でとろみを付けるのも、火加減や水分量、混ぜ合わせるタイミングが難しい。しかし、無水調理と電気鍋の合わせ技で、難しいことはすべて機械に任せられる。

ちなみに、ホワイトシチューもこの方法を使う。あらかじめ食材に小麦粉をまぶしておき、少量の牛乳とバターを入れておけば、市販のルーいらずだ。電気ではない無水調理用の鍋で同じことをしようとすると、人の手でかき混ぜている間はフタを開けなくてはならないため、水分が外へ逃げてしまう。そう考えると、これはホットクックでしかできない調理方法だろう。

無水調理×まぜ技ユニットのなせる技といってもよい、とろみ系メニュー。市販のソースやルーを使うよりもうまく仕上がって驚いた。麻婆豆腐なんかも上手にできそうだ

前編では、基本的な使い方などを紹介してきた。後編では、使い勝手やどんな人にオススメか、率直な感想をお伝えしよう。