仕事選びとアイドル

アイドルと仕事の共通点は「プラットフォーム」

塚岡:今は作品投稿型のSNSを運営している会社で働いてらっしゃいますね。仕事選びで一貫しているキーワードに「プラットフォーム」があると思いますが、「箱としてのアイドルグループを応援する」って言葉とも共通する感じがします。

Eさん:とにかく、自分が好きなものをインターネットで応援したかったんです。表現者の皆さんが、きちんと仕事が続けられて、評価もされるための仕組みをお手伝いできたらなと考えています。

塚岡:インターネットができて、作る人と楽しむ人の「間をとりもつ」っていう仕事を大企業が独占していた状況が一気に開放された感じはありますね。たとえば、出版、流通、映画配給みたいな。

Eさん:そう思います。さっき、アイドルは体験にお金を払う楽しみだという話をしましたけど、実際には難しいですよね。やっぱりCDとか物販とか、そういうモノの消費に頼っている部分が大きいです。クラウドファンディングなら、作り手側が体験に定価をつけて売り出すことができます。たとえば「アイドルの映画製作を応援する」ってプロジェクトで「そのアイドルたちと一緒に試写できる権利」に定価をつけて売ることができる。

塚岡:なるほど。

Eさん:今働いている作品投稿型のSNSもそうです。たとえば漫画なら、これまで5万部の売上見込のある作家しかプロになれなかったのが、ウェブを通じてもっと小さい資本で始められるようになります。

塚岡:うん、それもよくわかります。プラットフォーム化することで、より広く才能を売り出すことができるし、資本も小さくて済むというわけですね。

Eさん:そうですね。表現活動をされている方が、それを続けられること、評価されること、そしてちゃんと届くこと、のサポートになると思います。
アイドルの応援も、これに似てると思うんです。アイドルグループというプラットフォームを通じてメンバーを応援する。でもそれはプラットフォームなんで、どんどん中が入れ替わって良いんです。むしろ、そこを通じて羽ばたいていくことに喜びを感じます。

塚岡:いや~、いいお話を伺いました。ありがとうございます。

インタビューを終えて

アイドルを応援していく上での悲しみのひとつに「卒業」がありますが、Eさんはそれを「アイドルグループはプラットフォームである」という考え方で前向きに捉えることで、仕事選びにも、会社の業績にも良い影響を与えています。

公私をきっちり分けて仕事とオタ活を両立させるのも一つの手ですが、公私混同した上で高め合う方法を学ぶことができました。