360度回転するディスプレイが便利
タッチ操作に適したUIを採り入れたWindows 8の登場以降、ノートPCとしてもタブレットとしても使える2in1タイプのPCが増えているが、本機もそのひとつ。ヒンジ部分を軸にディスプレイが360度回転する仕組みになっており、180度くらいまでなら通常のノートPCとして、完全に360度ぐるっと回転して折りたためばタブレットとして使用することができる。
2in1 PCは本機のようにディスプレイが回転する「回転型」のほかに、ディスプレイとキーボードが分離する「分離型」などがあり、それぞれにメリット、デメリットがある。
一般的な回転型のメリットは、キーボードが一体になっているためノートパソコンスタイルでも安定して使えることや、画面の角度を柔軟に変更できるため利用シーンに合わせて最適な形状で使用できることなどが挙げられる。
一方、デメリットとしては、ディスプレイを回転してタブレットスタイルにすると裏面に回ったキーボードが手に当たって持ちづらいことに加え、キーボードを分離できないためタブレットスタイル時に重量面で不利になることなどがある。そのため、タブレットメインで使用する場合は分離型の方が向いているが、ノートPCとして使用する機会が多い場合は回転型の方がやはり使いやすい。
本機の場合は、完全にディスプレイを閉じた0度の状態から、360度回転した状態まで角度を無段階で調整することができる。その際、ディスプレイがどの角度でもきちんと止まり、自重で後方に倒れたりすることがないのは好印象だ。
2in1ではない普通のノートPCの場合、ディスプレイを目いっぱい後ろに倒しても135度前後までしか開けず、狭い場所で膝の上に乗せて使う際などに画面が見づらいこともあるが、本機はそんな時でも画面が見やすくなるよう調節できる。回転型の2in1ノートとしては当たり前の機構ではあるが、出先でノートPCとして使用することが多い人にとってはうれしいポイントだ。
また画面を180度開けば、ディスプレイとキーボードが完全に水平になって、机の上にペタンと一枚の板のように置くことができる。複数人で画面をのぞき込みながら、説明する場合などにとても便利だ。その場合、自分も相手も画面を斜めからのぞき込むことになるが、本機の場合は視野角の広いIPS方式の液晶パネルを採用しているため、斜めからでも色味がほとんど変化せず、表示内容がとても見やすいのがうれしい。
打ち合わせなどでは、相手にもっと見やすく画面を見せたい場合もあるだろう。そういったときに便利なのがスタンドスタイルだ。ディスプレイを270度以上開いてキーボード面を下にしておけば、フォトスタンドのような形状になる。スライドなどを表示して相手に説明するのに適したスタイルだ。ちなみに、本体を180度以上開くとキーボードは自動的に入力がオフになるので誤動作を心配する必要はない。
ただ、スタンドスタイルは静止画のスライドショーや動画などを見るのにも適しているが、フットプリントが大きくそれなりに場所を取ってしまうのが欠点だ。そのため、ベッドサイドの狭いテーブルや散らかった机の上などには少々置きづらい。
そんなときは、そのままヒンジ部を上に向けてテントスタイルにするといい。「ASUS」のロゴが天地さかさまになってしまうが、これだとフットプリントがかなり小さくなるので、棚の上のような狭い場所にも置くことができる。
今回、実際にさまざまなシーンで形状を変えて使用してみたが、思った以上に便利だと感じたのがスタンドスタイルだ。ほかのスタイルに比べて画面の角度が調節しやすいうえ、画面を指で押しても本体が不用意に動かず安定しているため、タッチ操作がやりやすい。
また、内蔵キーボードが画面の後ろに回るため外付けのキーボードやマウス、ペンタブレットなどが使いやすい。自宅ではこれら周辺機器を接続してデスクトップPCのように使いたいというニーズにも合いそうだ。